発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.306)
発行年月日:2020年11月15日・30日合併号
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2020年11月4日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「商標法一部条文改正草案」行政院審議版の公告
(2020年11月17日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「含薬化粧製剤、含薬シャンプー、含薬口腔洗浄剤」商品の公告
(2020年11月19日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「除くクレーム」にする補正又は訂正の適用態様が限縮へ
(2020年11月23日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「著作権者不明の著作物の利用許諾及び使用料弁法」第3条の改訂予告
2. 知的財産権紛争
(2020年11月19日 工商時報第B3面、経済日報第A3面の要訳)
2-1 家登精密と米インテグリス 特許訴訟を取下げ和解へ
1.智慧局ニュース
(2020.11.04 智慧局ニュース全訳)
1-1 「商標法一部条文改正草案」行政院審議版の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-882687-e7103-1.html
商標法制全体の構築を完備させるため、本局は商標法一部条文改正草案を起草し、改正16条文、新設2条文を2020年10月27日に行政院での審議に送った(以下の智慧局サイト「商標法部分條文修正草案總說明」(中国語)を参照https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-513-882685-b2787-201.html)。
今回の改正要点は以下のとおり:
1. 商標の専門能力を備える者は商標代理人となることができ、登録を経てはじめて商標代理業務を執行できるものとする。商標代理人に係る能力認証、登録条件、訓練方法及び時間数、管理措置、登録の取消又は廃止、及びその他の関連事項の弁法は、主務官庁がこれを定め、経過措置に関する条文及びその他(代理人)の登録申請の期限に係る規定を新設する。(改正条文第6条、第109条の1)
2. 商標代理人の管理措置に合わせ、外界による検索ができるよう商標主務官庁は商標代理人名簿を備え、商標代理人の登録等の関連事項を提供すると明文化する。(改正条文第12条)
3. 市場経営における関連商品又は役務業務の商業主体の実際の需要に合わせ、商標登録出願人適格の主体を明文化する。(改正条文第19条、第99条)
4. 台湾産業界のニーズ及び国際調和のため、商標登録出願の早期審査メカニズムを新設する。(改正条文第19条、第104条)
5. 商標図案中に含まれる機能性を具えている部分の権利範囲を明確化する。(改正条文第30条)
6. 商標権の効力による拘束を受けない指示的合理使用、善意による先使用及び権利の消尽等の内容を明確化し、司法実務の適用に合わせる。(改正条文第36条)
7. 商標の登録が商標法第30条第1項第15号規定である他人の先行権利を侵害したとして異議申立をする場合、その「確定判決を経た」認定は異議申立時を判断基準とする。無効審判請求をする場合、これを準用し、且つ無効審判請求の除斥期間の制限は受けない。(改正条文第48条、第58条、第62条)
8. 廃止(不使用による取消)審判請求の手続要件の規定を緩和する。(改正条文第65条)
9. 登録申請をせず商標代理人業務を執行した場合の処罰規定及び案件代理人が就業停止、登録の取消又は廃止の公告を受けた後の効果。(改正条文第98条の1)
(2020.11.17 智慧局ニュース全訳)
1-2 「含薬化粧製剤、含薬シャンプー、含薬口腔洗浄剤」商品の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-883530-82043-1.html
一、 衛生福利部(以下「衛福部」と称する)は2019年5月30日に「特定用途の化粧品成分名称及び使用制限表」を定め2020年1月1日から発効した。また、2020年8月6日には「化粧品における医薬成分または毒物、劇物の含有基準(以下「含薬化粧品基準」と略称)」を廃止し、即日発効とした。
二、 衛福部が「含薬化粧品基準」を廃止したことに合わせ、また、改正「化粧品衛生安全管理法」の「特定用途化粧品」に関する規定に抵触することのないよう、智慧局が公告した「商品及び役務分類と相互類似検索の参考資料」(以下「参考資料」と称する)は、元々ニース国際分類を参考にした項目で、第5類に記載された「含薬化粧製剤、含薬シャンプー」の類似群商品及び「含薬口腔洗浄剤」の類似群商品は、2021年1月1日から受理されない。以下に説明する(詳しくは添付資料を参照):
(1) 今後、企業が商標を第5類の洗面製剤、シェーブローション、シャンプー、口腔洗浄剤等の商品を指定して商標登録出願しようとする場合、これらの商品は性質上、医薬品に帰属するものであることから区別しやすいよう「医療用」と表明しなければならず、また、商標を実際に使用する際には衛福部等の目的事業主務官庁の法規規定(衛福部の関連公告:https://www.fda.gov.tw/TC/siteList.aspx?sid=1894 )に特に留意しなければならない点に注意すること。
(2) 企業が本来第5類「含薬化粧製剤、含薬シャンプー、含薬せっけん」の類似群商品及び「含薬口腔洗浄剤」の類似群商品を指定して登録した商標については、法令改正後、市場においてもはや「含薬化粧製剤、含薬シャンプー、含薬口腔洗浄剤」等の商品名称を使用してはならないため、企業は「化粧品衛生安全管理法」の関連法令規定に基づき、実際に使用する際には、現行の「特定用途化粧品」の検査登記申請に符合する場合、許可を経て許可証が発行されてからはじめて製造又は輸入することができる。
(3) 「含薬化粧製剤、含薬シャンプー、含薬口腔洗浄剤」等の商品を指定して登録された商標が真の使用であるか否かの認定については、「特定用途化粧品」の使用状況に合致するだけでなく、智慧局が、企業の実際の商品の市場取引状況を参考にして判断する。企業の実際の使用が、医療用シェーブローション、医療用シャンプー、医療用洗面製剤、医療用口腔洗浄剤等の商品に使用されている場合、登録指定商品と同一性があり、登録商標の登録指定商品範囲における使用の認定には影響しない。
三、 改正後の第5類「医療用シェーブローション、医療用シャンプー、医療用洗面製剤、医療用口腔洗浄剤」等の類似群コード及び商品・役務の範囲の検索の際には、参考資料の備考の説明に注意すること。商標がすでに第5類「含薬化粧製剤、含薬シャンプー、含薬せっけん」の類似群商品及び「含薬口腔洗浄剤」の類似群商品で登録査定された案件については、それと第3類の「パーマ液、カラー剤、洗髪剤、トリートメント剤」小グループの全ての商品、「人体用洗浄剤」小グループの全ての商品及び「非医療用口腔洗浄剤」グループの全ての商品は、依然として相互検索の範囲であり、同一又は類似を構成する商品であることから、関連する消費者に誤認・混同を生じさせないよう、企業は同一又は類似する商標を登録出願しないよう注意すべきである。
四、 個別案件上で、関連する消費者にそれが同一又は同一ではないが関連のある出所である等と誤認させるような情況があるか否かの審査について、智慧局は公告されている「誤認・混同のおそれの審査基準」に基づき両商標の類似度、商品・役務の類似度及びその他個別案件に存在する参考要素を総合的に考慮して認定する。
(2020.11.19 智慧局ニュース全訳)
1-3 「除くクレーム」にする補正又は訂正の適用態様が限縮へ
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-883542-7afc9-1.html
智慧局は審査基準第二篇第6章4.2.2(7)に記載されている「除外(disclaimer)」する方式で記載する「除くクレーム」での補正・訂正の規定について、今後以下のいずれかに該当する場合に限るとした。
1. 審査基準第二篇第6章4.2.2(7)に記載されている「除外(disclaimer)」する方式で記載する「除くクレーム」での補正・訂正の規定は、「先行技術と重複する部分を除外する表現方式で記載」することができるものであるが、その中の「先行技術」は以下の3つの情況に限られることとなる。
(1) 新規性欠如の引用文献を克服するため(第22条第1項第1号)
(2) 新規性喪失の例外の引用文献を克服するため(第23条)
(3) 先願主義原則を満たさない引用文献を克服するため(第31条)ただし、「同日出願」の引用文献には除くクレームは適用されない(第31条第2項を除く)。
2. 物の発明の請求項における「人類」の部分を除外する場合。
3. 方法の発明の請求項における「生命を有する人間・動物の身体で実施する工程」を除外する場合。
(2020.11.23 智慧局ニュース全訳)
1-4 「著作権者不明の著作物の利用許諾及び使用料弁法」第3条の改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-883549-8ea7b-1.html
経済部公告
2020年11月23日経授智字第10920031500号
主旨:
「著作権者不明の著作物の利用許諾及び使用料弁法」第3条の改訂予告
根拠法:行政手続法第151条第2項準用の第154条第1項
公告事項:
1. 改訂機関:経済部
2. 改訂の根拠:文化創意産業発展法第24条第5項
3. 著作権者不明の著作物の利用許諾及び使用料弁法第3条の改訂草案は上記リンク先のとおり。本件は経済部智慧財産局のウェブサイト及び経済部主管法規検索システム/草案予告フォーラム(又は「經濟部全球資訊網首頁/法規及訴願/草案預告」)からリンク可能。
4. 公告内容について意見・提案がある場合、本公告の公報掲載日から60日以内に意見陳述又は問い合わせすること。
(1) 担当部署:経済部智慧財産局著作権組
(2) 住所:台北市大安区辛亥路二段185号3階
(3) 電話:(02)23767157
(4) FAX:(02)27365061
(5) 電子メール:ipocr@tipo.gov.tw
「著作権者不明の著作物の利用許諾及び使用料弁法」第3条
の改訂草案総説明
著作権者不明の著作物の利用許諾及び使用料弁法(以下「本弁法」と略する)は、2010年9月24日に制定公布された。近年、利用者が著作権者不明の著作物(以下、「孤児著作物」)の利用許諾を申請するニーズが徐々に増加しており、実務上の申請手続について比較的煩雑で時間がかかるとの意見があり、また、デジタルテクノロジーの発展に伴い、先進国の法制度を参考に適宜調整して対応することとなった。
孤児著作物の利用許諾申請手続の簡素化を図り、孤児著作物の流通利用及び文化創意産業の発展を促進するという目的のため、本弁法第3条改訂草案を起草する。これにより申請者は関連する著作権者団体又は機構に照会したが回答を得られなかった期間について、当該団体又は機構が照会書類を受け取った日から起算するとしていたところ、改訂により申請者が照会書類を郵送した日から30日とし、著作権者の公開調査手続(著作者捜索に係る「相当の努力」の一つで一般に公開して情報収集すること)については、公開調査の回答待ち時間を30日から10日に短縮し、公開調査の掲載媒体を新聞紙のみだったところ、さらに著作権主務官庁(智慧局)のウェブサイトへの掲載とで選択することができるようになる。
2.知的財産権紛争
(2020.11 .19 工時報商第B3面・経済日報A3面の要訳)
2-1 家登精密と米インテグリス 特許訴訟を取下げ和解へ
ウェハー及びレチクルステージサプライヤーの家登精密(Gudeng Precision)と米インテグリスは18日、共同で和解宣言及び秘密保持の実施許諾協議書にサインし、インテグリスはRSP及びEUVレクチルボックスの関連技術について家登精密に実施許諾し、双方は全ての特許訴訟及び特許争議を取り下げると発表した。但し、秘密保持協議に基づき和解内容は公開しない。和解に伴い、家登精密は仮執行を免れることができる担保金9億7,887万台湾元(約36億円)を取り戻すことができ、今後の拡張需要及び運営資金にあてられる。
インテグリスは2015年、台湾で家登精密が製造・販売しているレチクルSMIF ポッド(RSP)が同社の「レチクルステージ及びレチクル固定の方法」特許を侵害しているとして特許訴訟を提起した。台湾智慧財産法院は2019年3月にインテグリスの訴えを認め、家登精密に対しインテグリスへ9億7,887万台湾元(約36億円)の賠償金を支払うよう命じる一審判決を下した。インテグリスは2019年7月にも家登精密に対し、EUV(極端紫外線)レチクルポッドに関する権利侵害として訴訟を起こした。
これに対し、家登精密は控訴を提起し、仮執行が免れることができる担保金を供託し、また智慧財産局(以下「智慧局」と略する)に対しインテグリスの特許の無効審判を別途請求した。智慧局は今年6月、無効審判審決書を公布し、インテグリスの特許は専利法第22条第4項に違反し進歩性を具えていないと認定し、インテグリスの特許を取り消した。
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