発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.407)
発行年月日:2026年6月15日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2026年6月5日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「商標手数料徴収基準」第2条の改正予告
2. 知的財産権紛争
(2026年5月25日 聯合報全訳)
2-1 半導体エンジニアが社長のライブ配信された会議の内容を漏洩 外部で85回講演を行い298万台湾元の利益を得たとして起訴される
(2026年6月11日 経済日報全訳)
2-2 TSMCが米国の権利侵害争訟に巻き込まれ、最悪の場合は輸出禁止になる?経済部「台湾企業は知的財産権を重視しコンプライアンスを遵守した経営を行っている」
(2026年6月12日 工商時報第A13面全訳)
2-3 TSMCが権利侵害疑惑に巻き込まれた!経済部は噂を否定
3. 模倣品関連
(2026年6月9日 刑事警察局ニュース全訳)
3-1 本物の金でも権利侵害!刑事局は台湾北部・中部・南部で金の装飾品の模倣品の大規模な取締りを実施 知的財産を守る決心を示す
4. その他一般
(2026年5月20日 行政院ニュース全訳)
4-1 行政院詐欺撲滅指揮センターがMetaに対し詐欺防止と法的責任を果たすよう要求:正当なユーザーの権益を保護するため、詐欺投稿をブロックするようアルゴリズムを積極的に修正すべき
(2026年5月21日 聯合報全訳)
4-2 AI基本法の施行に伴い、デジタル発展部がリスク分類枠組みを、教育部が学習ガイドを公表する
(2026年5月22日 工商時報第A2面全訳)
4-3 国家AI委員会の設立 卓院長がリーダー
(2026年6月2日 聯合報全訳)
4-4 司法院の人事異動!鄭純惠氏が智慧財産法院院長、劉方慈氏が高等法院金門分院院長に就任することが決定
(2026年6月3日 経済日報全訳)
4-5 AIが報道業界に与える衝撃 デジタル発展部が共同の収益分配プラットフォームを構築
1.智慧局ニュース
(2026.06.05 智慧局ニュース全訳)
1-1 「商標手数料徴収基準」第2条の改正予告
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/890-86922.html
経済部公告
発行日:中華民国115年(2026年)6月4日
文書番号:経授智字第11552800720号
添付:「商標手数料徴収基準第2条」改正草案(総説明及び条文対照表)。
主旨:「商標手数料徴収基準」第2条の改正予告。
根拠法:行政手続法第154条第1項を準用する同法第151条第2項。
公告事項:
1. 改正機関:経済部。
2. 改正の根拠:商標法第104条。
3. 商標手数料徴収基準第2条の改正草案は添付のとおり。本件は、経済部智慧財産局ウェブサイト(https://www.tipo.gov.tw/)及び經濟部主管法規査詢系統(経済部主管法規検索システム)/草案預告(草案予告)(あるいは、「經濟部全球資訊網首頁(経済部ウェブサイトトップページ)/法規及訴願(法規及び訴願)/草案預告(草案予告))(https://law.moea.gov.tw/DraftForum.aspx)にも掲載されている。
4. 本公告の内容に対する意見や修正提案がある場合は、本公告が公報に掲載された翌日から起算して60日以内に意見を提出するか、以下に連絡すること。
(1) 担当部署:経済部智慧財産局商標権組
(2) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(3) 担当者:陳商標シニア審査官
(4) 電話:(02)2376-6142
(5) FAX:(02)2735-9095
(6) 電子メール:ipotr@tipo.gov.tw
※なお、「商標手数料徴収基準第2条改正案総説明」の内容は以下のとおり。
商標手数料徴収基準第2条改正案総説明
商標手数料徴収基準(以下「本基準」という。)は1994年7月1日に制定・公布され、7回の改正を経ており、直近では2025年6月18日に改正・公布された。
現行の商標又は団体商標の登録手数料は、使用を指定する商品又は役務の区分ごとに集計して徴収するものである。第1類から第34類の商品については、同一区分の指定商品が20を超える場合、超過する件数に応じて加算して徴収する。第35類から第45類の役務については、第35類の特定商品の小売役務のみ、5を超える場合に超過分を加算して徴収し、その他の役務の数には制限はない。実務上、出願人があまりにも多くの役務について出願するケースが頻繁にあるが、その指定する役務が実際の事業範囲と関連していない可能性がある。これは実際の経営状況と一致しないだけでなく、審査データベースの過剰な拡大を招きやすく、審査の難易度を高めることにもなる。また、近年の商標登録出願の統計データによると、第35類から第45類の役務(11区分)を指定する出願は、全区分(45区分)の件数の40%以上を占めている。そのうち、指定する役務の項目が20を超える案件はさらに45%に達しており、審査のためにより多くの人的リソースと行政リソースを投入する必要がある。審査コストを合理的に反映し、出願人が実際のビジネス上の必要性に基づいて合理的に使用を指定する役務の数を設定するように促すため、本基準第2条の改正草案を作成し、第35類から第45類の役務についての登録出願手数料の計算方法を調整することとした。
2.知的財産権紛争
(2026.05.25 聯合報全訳)
2-1 半導体エンジニアが社長のライブ配信された会議の内容を漏洩 外部で85回講演を行い298万台湾元の利益を得たとして起訴される
半導体とインフラソフトウェアのサプライヤーである米国ブロードコム(Broadcom Inc:ブロードコム)の台湾子会社、安華高科技(Avago Technologies Taiwan Limited:安華)のエンジニア、李昆樺は、ブロードコム社長がライブ配信する四半期ごとの会議内容を撮影し切り抜いてプレゼン資料を作成し、会社のノートパソコンにログインして顧客の製品注文情報等の資料を取得して講演原稿を作成して、「ブロードコムの専門家」として1年余りの間に85回の講演を行い、講演料として295万8,000台湾元(約1,517万4,100円)を得ていた。台北地方検察署は本日捜査を終結し、営業秘密法違反で起訴した。
起訴状では次のとおり指摘されている。エンジニアの李は、製品セールス、顧客案件の進捗管理、顧客関係の維持、製品量産後の受注及び出荷を担当していた。2024年1月から2025年3月にかけて、金正禾數位公司(futurePnP Co., Ltd.)と亮惟有限公司(VISION CONSULTANT CO., LTD.)に招聘され、「ブロードコム専門家」、「Avgo専門家」などと名乗り、台北市信義区、大安区、中山区、内湖区等で85回の講演を行い、プレゼンテーション資料を投影し講演原稿を読み上げて、会場の参加者に対して営業秘密を使用・漏洩し、講演料として合計295万8,000台湾元(約1,517万4,100円)を受け取った疑いがある。
李は講演の中で、「内容は全てハイレベルのものです。皆さんにこれだけ知っていただければ十分です。これらはすべて、私たちが顧客と議論している内容です。」と述べていた。ブロードコム社長と半導体ソリューションズグループプレジデントにより開催されたライブ配信会議の内容には、ブロードコムが保秘とする顧客情報、製品購入情報、今後のAI製品の利益予測及び開発の進捗状況が含まれていた。
検察の捜査によると、李は、会社のクラウドストレージシステム「Box」にログインし、ブロードコム社長兼CEOの陳福陽氏及び半導体ソリューショングループプレジデントのCharlie Kawwas氏が四半期ごとに開催するライブ配信会議である「Marketing Quarterly Business Review,QBR」と「Coffee Talk」の動画及びプレゼン資料を開き、コンテンツに含まれる営業秘密を撮影し切り抜いてプレゼン資料を作成した疑いが持たれている。さらに、会社の許可なく業務用ノートパソコンから顧客注文分析システムにログインし、顧客の製品注文、顧客の製品研究開発の進捗状況、顧客リスト及び経営情報といった営業秘密を違法に複製してダウンロードし、プレゼン原稿を作成した疑いが持たれている。
本事件は、安華に情報提供があり調査が行われ、その結果李の犯行が判明して告訴されたもので、新北市調査処は李を検察に送致した。検察は、李には「営業秘密と知りながら又は保有しながら、無断でこれを使用又は漏洩した」営業秘密法違反の疑いがあるとして、起訴した。
(2026.06.11 経済日報全訳)
2-2 TSMCが米国の権利侵害争訟に巻き込まれ、最悪の場合は輸出禁止になる?経済部「台湾企業は知的財産権を重視しコンプライアンスを遵守した経営を行っている」
半導体の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)が専利権侵害争訟に巻き込まれ、現在、米国国際貿易委員会(ITC)で審理されている。権利侵害が認定されれば、最も深刻な場合は排除命令が発せられ、関連の半導体チップの米国への輸入が禁止される可能性がある。これについて経済部は11日、TSMCへの支持を表明し、台湾の半導体業者は長年にわたり知的財産権を重視し、世界の顧客やサプライチェーンパートナーと密接な提携を維持しており、世界の主要な運営拠点において法を遵守したコンプライアンス経営を行っていると述べた。
経済部は、政府は今後の展開に引き続き注目し、関連業者と連絡を取り合い、必要な場合は適切な支援を提供して、台湾半導体産業の国際市場における安定した運営とサプライチェーンの強靭化を確保していくと述べた。
半導体の世界最大手であるTSMCが専利権侵害争訟に巻き込まれ、現在、米国国際貿易委員会(ITC)で審理されている。重要な局面を迎えている中、複数の共和党議員がITCに書簡を送り、米国専利権の執行を要求し、TSMCが米国のAI及び半導体サプライチェーンの重要な地位にあることを理由に特別な待遇を与えるべきではないとした。行政法判事は6月に仮決定を下す予定であり、委員会は10月に最終的な決定を下すと見込まれている。
(2026.06.12 工商時報第A13面全訳)
2-3 TSMCが権利侵害疑惑に巻き込まれた!経済部は噂を否定
政治ニュースサイトAxiosの報道によると、複数の共和党の連邦議会議員が最近、米国国際貿易委員会(ITC)に書簡を送付し、米国特許法の厳格な執行を求めるとともに、外国製のチップが米国の特許権を侵害していると認められた場合にはその輸入を禁止すべきであると主張した。本件は台湾積体電路製造(TSMC)の最先端プロセスで生産されるAIチップに関係しており、ITCの最終決定による米国のAIサプライチェーンへの影響の有無と米国政府のTSMCに対する政策方針に注目が集まっている。
TSMCによる権利侵害の疑いについて、経済部は11日、台湾の半導体業者は長年にわたり知的財産権を重視し、世界の顧客やサプライチェーンパートナーと密接な連携を維持しており、世界の主要な運営拠点において法を遵守したコンプライアンス経営を行っていると述べた。
経済部は、政府は今後の展開に引き続き注視し、関連業者と連絡を取り合い、必要な場合は適切な支援を提供して、台湾半導体産業の国際市場における安定した運営とサプライチェーンの強靭化を確保していくと述べた。
Axiosが入取した文書によると、米国共和党の連邦議会下院議員のRyan Zinke氏、連邦議会上院議員のTim Sheehy氏、Roger Marshall氏及びBernie Moreno氏は、5月22日にITCのAmy Karpel委員長に連名で書簡を送付し、権利侵害案件に対して強硬な姿勢で対応するよう委員会に呼びかけた。
今回の調査の発端は、アイルランドのダブリンに拠点を置くLongitude Licensing社とMarlin Semiconductor社の2社がITCに申し立てを行ったことである。両社はIPValueManagementの傘下企業で、IPValueは米国のプライベートエクイティファンドであるVector Capitalの所有である。
申立人は、TSMCの先端プロセス技術で製造されたチップが、自社の所有する専利権を侵害していると主張している。これらのプロセスは、現在のAIアクセラレータチップと高性能コンピューティングチップの生産におけるコア技術である。
3.模倣品関連
(2026.06.09 刑事警察局ニュース全訳)
3-1 本物の金でも権利侵害!刑事局は台湾北部・中部・南部で金の装飾品の模倣品の大規模な取締りを実施 知的財産を守る決心を示す
www.cib.npa.gov.tw/ch/app/news/view?module=news&id=1885&serno=404d4585-02e1-4b73-b18f-25b22a681d11
1. 捜査部署:台湾宜蘭地方検察署(化股)、台湾台中地方検察署(歳股)、台湾彰化地方検察署(敏股)、刑事警察局知的財産権捜査大隊、台中市政府警察局刑事警察大隊、第一分局 彰化県警察局員林分局
2. 捜査時期:2025年1月から4月。
3. 捜査場所:宜蘭県宜蘭市、羅東鎮、台中市中区、彰化県彰化市、員林市、南投県埔里鎮、高雄市苓雅区、三民区。
4. 容疑者:王(女、1979年生まれ)、李(男、1979年生まれ)、李(男、1979年生まれ)、謝(男、1978年生まれ)、盧(女、1998年生まれ)、林(男、1968年生まれ)、林(男、2000年生まれ)、夏(男、1961年生まれ)、侯(女、1975年生まれ)、呉(女、1957年生まれ)、陳(男、1967年生まれ)、朱(女、1971年生まれ)、陳(男、1976年生まれ)、朱(男、1999年生まれ)、林(男、1953年生まれ)、夏(男、1960年生まれ)、夏(女、1977年生まれ)、頼(男、1983年生まれ)、頼(女、1980年生まれ)、陳(男、1992年生まれ)、許(男、1978年生まれ)、蔡(女、1954年生まれ)ら22人。
5. 押収された証拠品: LV、ヴァンクリーフ&アーペル、CHANEL等のブランド貴金属・服飾品の模倣品725点等の証拠品を押収。
6. 事件の概要:
(一) 刑事警察局知的財産権捜査大隊は、台湾北部、中部、南部の宝飾店において権利者からの使用許諾なしにLV等の商標が付された貴金属装飾品が陳列、販売されているとの通報を受けた。プロジェクトチームが証拠を収集し、商標権利者による鑑定で模倣品であることを確認した後、直ちに管轄の地方検察署の検察官に捜査の指揮を要請した。
(二) プロジェクトチームが更に捜査した結果、宝飾店にあった商標が模倣された金の装飾品の出所が判明した。2025年1月から4月にかけて、宜蘭、台中、彰化、南投及び高雄等の各地で、事件に関与する宝飾店に対する捜索・取締りを実施し、装飾品業者22人を検挙し、出頭させた。現場では、CHANEL、ヴァンクリーフ&アーペル、LV及び複数の人気アニメの図柄等の商標を模倣した貴金属装飾品725点を押収し、総重量は75両(2,812.5グラム)に達した。商標権侵害市場価格は4,300万台湾元(約2億1,800万円)に達すると推定される。本事件は、商標法違反の容疑により各管轄の地方検察署へ送られた。
(三) 捜査によると、押収した金の装飾品の模倣品の多くは、装飾品業者が来店した不特定の個人バイヤーから仕入れたものであることが判明した。これらは店舗で陳列販売されたほか、オンラインショップでも販売され、ブランドの知名度に便乗して消費者の注目を集め、購入を促していた。一部の業者は、「金の装飾品は金の重量で価格が決まるもので、ブランドLOGOを使用したことによってその価値が高まるものではない」と主張したが、商標法の規定によれば、商標権侵害の判断は、商品価値の向上やプレミアム価格の発生を要件とせず、他人が経済部智慧財産局に登録している商標と同一または類似する商標を無断で商品の外観に使用しているか否か、消費者に誤認混同をもたらすおそれがあるか否かに重点が置かれている。本事件で押収された金の装飾品は純金であるが、その外観デザインは特定のブランドの使用許諾を得ているか関連性があるものだと消費者に誤認させる可能性があるため、商標法違反の疑いがあり、法に基づき厳正に処罰されなければならない。
(四) 商標法の規定に基づき、他人の商標権を侵害している商品であることを明らかに知りながら販売した、又は販売を意図して所有、陳列、輸出若しくは輸入をした場合、最も重刑で1年以下の懲役、拘留若しくは5万台湾元(約25万3,300円)以下の罰金、又はこれらが併科されることがある。刑事警察局は業者に対し、商品の出所及び合法性を必ず慎重に調査するよう呼びかけるとともに、引き続き宝飾店、実店舗及びその他の販売経路の取締りを強化していく所存であり、台湾の知的財産権保護体制を整備・維持するため、リスクを軽く見て模倣品を販売することのないよう市民に呼びかけた。
4.その他一般
(2026.05.20 行政院ニュース全訳)
4-1 行政院詐欺撲滅指揮センターがMetaに対し詐欺防止と法的責任を果たすよう要求:正当なユーザーの権益を保護するため、詐欺投稿をブロックするようアルゴリズムを積極的に修正すべき
www.ey.gov.tw/Page/9277F759E41CCD91/408977e6-726e-4fda-8e6a-9b6d28cbcce6
MetaのSNSプラットフォーム(Facebook、Threads、Instagram)では、アカウントにより生成されたコンテンツ(投稿)による詐欺コンテンツが横行し、市民の財産や事業者の経営に深刻な脅威を与えていることを受け、行政院詐欺撲滅指揮センターは本日(5月20日)、Metaに対し、繰り返される詐欺投稿を根本的にブロックするために、アルゴリズムと検出システムを直ちに積極的に修正するよう求める、厳しい声明を発表した。政府は、もしMetaが消極的な対応を続けるならば、必要に応じ「詐欺犯罪危害防止条例」を再改正して相応の管理措置及び罰則を提出する必要があること、及び政府も全力で被害者と企業が法的措置を講じることをサポートしてインターネット取引の安全性を守ることを強調した。
内政部警政署刑事警察局の2026年1月1日から4月30日までの統計によると、MetaのSNSプラットフォームに関連する詐欺事件の件数は1万4,073件で、事件全体の84.31%を占め、被害額の合計は13億6,178万1,574元(約69億1,900万円)で、被害額の86.2%を占めた。MetaのSNSプラットフォームは依然として詐欺グループの主要な詐欺のルートになっていることが明らかである。なかでもThreadsは、ネットショッピングの詐欺投稿の中で季節性/時事性のある商品を扱った詐欺が依然として多く、特に政府機関を装った農産物(ニンニク、マンゴスチン、ライチ、桃、アボカド、マンゴー等)が大部分を占めている。また、ネットショッピングの詐欺の中で、iPhone、Switch2、PS5等の詐欺には同じ特徴があり、いずれも、閉店を理由とした低価格セールや新規開店のための無料プレゼントをかたる詐欺であり、実体店舗の写真を盗用して被害者を信用させている。
詐欺撲滅指揮センターは次のとおり指摘した。SNSはすでに人々の生活の中心となっている。現在、市民がSNSプラットフォームでの買い物において詐欺被害に遭う事例が頻発しているが、Metaは、アカウントにより生成されたコンテンツ(投稿)に対する詐欺防止対策の自主管理を効果的に実施できておらず、その結果、詐欺投稿が繰り返し発生している。消費者の権益を侵害するだけでなく、SNSを基盤として経営している数多くの事業者と個人事業主の信用も損なうものである。政府は、詐欺撲滅には曖昧さは許されないことを改めて強調し、Metaは相応の社会的責任を果たすべきであるとしている。政府がプラットフォーム上の詐欺投稿を抑制する鍵は、「投稿の削除」ではなく、「早期警告、迅速な沈静化、詐欺行為のコスト増加」である。方法としては次のようなものがある:
1. Metaは技術的な脆弱性を修正すべき:詐欺行為を根本的に阻止する
詐欺撲滅指揮センターは、多くの詐欺投稿は通報され削除された後、間を置かずに同じ画像とテキストにより繰り返し投稿されており、Metaの検出システムに深刻な技術的脆弱性が存在することが明らかであると指摘した。政府はMetaに対し、アルゴリズムの修正と「重複詐欺コンテンツ識別メカニズム」の構築を積極的に行い、詐欺と判断された情報は、事後対応ではなく直ちに遮断するよう、厳しく要求した。
2. 事業者と個人事業主の保護:「公式の本人認証」の仕組みの構築を要請する
SNSプラットフォームは台湾の多くの事業者およびハンドメイド作家の生命線となっているが、なりすましの詐欺グループによる偽のファンページ開設の被害が頻発している。詐欺撲滅指揮センターはMetaに対し、消費者が正規業者と詐欺アカウントを見分け、合法的な業者のビジネス環境を保障するため、現地の小規模事業者向けにより便利で信頼性のある「本人認証サービス」(ブルー認証バッジ等の明確な識別)を提供するよう求めた。
3. 法改正による規範の厳格化の可能性:自主的な改善を拒否した場合「強制的な重罰」に踏み切る
今後「詐欺犯罪危害防止条例」を改正して「被害者数」又は「詐欺投稿件数」を基準として重罰を科すことを検討する。プラットフォーム事業者に対し、台湾で事業を行う際には台湾の法治と市民の財産の安全を尊重することを要求する。
4. 法的救済の支援:被害者による損害賠償請求を促進する
現行の法規範において、消費者がプラットフォームに対し権利を主張する余地はある。現在、消費者保護協会は特定の事例について法的措置を講じており、政府はこれに注目し法的支援を提供する予定である。被害者はプラットフォームに対して損害賠償を請求でき、企業に対して「ユーザーの安全を無視すれば代償を払うことになる」ことを明確に示すことができる。
5. 省庁横断的に協力して詐欺を撲滅し、国民の財産を保護する
詐欺撲滅センターは最後に、詐欺撲滅は政府の施策の最重要事項であると強調した。今後も内政部、デジタル発展部、国家通信情報委員会(NCC)、金融監督管理委員会及び法務部等のリソースを省庁横断的に統合し、プラットフォームの監督を強化するとともに、国民の詐欺防止の意識の向上に引き続き取り組んでいく。政府は、強い決意と行動で、国民と連携し、安全なインターネット環境を構築していく。
また、詐欺撲滅センターは市民に対し、SNSプラットフォームには、人気のコンサート、スポーツイベントのチケットを至急入手したいという需要に合わせて、チケット取引、交換、代理購入をかたるグループが数多くあり、詐欺のリスクが非常に高いことを注意喚起しており、審査体制を備えた公式ウェブサイトから購入し、送金前に取引相手と商品を慎重に確認し、詐欺被害を防ぐことを推奨している。さらに、市民に対し、法外な利益を求めて自ら法に違反しないようにするだけでなく、ダフ屋からチケットを購入することを皆で拒否し、不正な風潮を根絶してチケットを購入する市民の権利を守るよう、呼びかけている。
(2026.05.21 聯合報全訳)
4-2 AI基本法の施行に伴い、デジタル発展部がリスク分類枠組みを、教育部が学習ガイドを公表する
AI基本法が今年初めに公布施行されたところ、国家科学及技術委員会(国科会)は2年間の法律の調整期間をすでに開始しており、各関係機関に対し、リスク管理基準を策定して業界が独自のガイドラインを策定することを支援するよう要請した。また、デジタル発展部は、近日中にリスク分類枠組みを公表して各省庁のリスク評価の実施を支援し、高リスクのAIに対し警告表示を要求し救済メカニズムを構築する。教育部も7月までにAI利用と学習に関するガイドラインを公表する。
立法院は昨年AI基本法を三読(最終可決)した。規定に基づき、行政院が「国家AI戦略特別委員会」を設立し、行政院長を招集人、副院長を副招集人とし、政務委員、各省庁の長、地方首長及び学者・専門家と産業界の代表者を、幅広く招集して組織される。同委員会は、全国のAI関連の事業の調整、推進及び監督・指導を担当し、「国家AI発展綱領」を制定する予定である。
国科会は本日、行政院会で「AI基本法施行計画」について報告を行った。報告によると、デジタル発展部は、AIが児童、人権、ジェンダーに与える影響評価を完了しており、今後リスク分類枠組みを公表し、各省庁が各分野のリスク評価を実施する際に役立つ評価ツールを提供する予定である。高リスクのAI活用については、政府は、明確な警告表示を義務付けるだけでなく、責任の所在を明確にし、救済・補償メカニズムを確立する。
リスク分類枠組みの運用スケジュールについて、デジタル発展部の侯宜秀・次長は、行政院に提出し現在承認を待っているところで、早期に承認されることを期待しており、高リスクカテゴリーについては欧州連合等の国際的な認定基準を参考にし、各省庁がそれに沿って対応できるように指針を示す予定であると述べた。行政院の李慧芝・報道官は、政務委員が22日に会合を開き議論する予定であり、具体的な進展があれば報告すると述べた。
公共部門におけるAI活用に関し、国科会は、各政府機関は近いうちに内部AI活用のユースケースの洗い出しとリスク評価を完了し、来年初めまでに内部統制規範を策定しなければならないと述べた。AIと倫理教育を継続的に推進するため、教育部は7月までにAIの利用と学習に関するガイドラインを公表し、国民が正確なAIリテラシーを身につけられるようにする。
中長期的な計画については、国科会は、政府はこの法律施行後2年以内に法規制の調整と行政施策の改善を完了させると説明した。各目的事業主務官庁は、2年以内に必要に応じてリスク管理規範を策定し、産業界が独自のガイドラインを策定することを支援する。データガバナンスに関しては、デジタル発展部が「データ革新・利用の発展の促進に関する条例(促進資料創新利用發展條例)」を作成し、データの公開、共有及び再利用のためのメカニズムを構築する。
このほか、教育部は同会議において、2026年から2029年までの「AI人材の箱舟計画」について報告した。インフラ、コア能力、デジタル駆動の三つの面から取り組み、デジタルコンテンツの充実計画、次世代AI学習システム研究開発計画、デジタル教育の支援と指導に関する計画、AI教育の教員育成連盟、科学技術分野におけるAIリテラシー強化計画、教育ビッグデータ分析計画の六つの計画により、小中学校の教員と生徒のAI教育の基盤を全面的に構築する。
デジタル発展部が報告した「AI産業人材認定ガイドライン3.0」については、行政院人事行政総処との協力により今年6月に「AI公務人材認定ガイドライン」が公表される予定である。AI基本法の施行に伴い、新しいバージョンではAIガバナンスリテラシーが追加され、ユーザーにはAIから派生するシステム、人間とコンピューターの相互作用、社会的影響とリスクを理解する能力が求められるようになっている。また、AIエージェントツールの急速な普及に対応して、プログラミング言語の応用のカテゴリーの下に「AIとの協働と開発」の能力が追加され、ユーザーには自然言語を用いてAIと協働してプログラミングすることができる能力が求められるようになっている。
AI人材の共通基準の構築に加え、デジタル発展部は官民連携によるAIエコシステムの構築にも尽力している。例えば、人工知能アカデミー(AIA)やMetaとの連携による「好好用AI(AIを上手に活用)」という教育教材の推進や、財団法人人工知能科技基金会(AIF)と共同での教材開発がある。台湾を代表するオンライン学習プラットフォームであるHahowも正式に参加している。現在、民間パートナーは25団体あり、その内訳は研修機関18団体、認証機関4団体、プラットフォーム3団体となっている。
このガイドラインの民間への浸透の効果は、現時点ではまだ明らかではない。デジタル発展部の侯宜秀・次長は、現時点で産業創新條例にはAI研究開発投資に対する控除に関する規定が含まれており、将来的にこれを拡大するかどうかについてはさらなる議論の余地があると述べた。
(2026.05.22 工商時報第A2面全訳)
4-3 国家AI委員会の設立 卓院長がリーダー
《AI基本法》が今年1月に施行され、政府は同法に基づき、法制化の下で、台湾のAI発展を推し進めている。行政院は法に基づき「国家AI戦略特別委員会」を設立し、卓栄泰・行政院長を招集人として、全国のAI関連事務を監督・指導する。
行政院会は21日、台湾のAI発展に焦点を当て、「科学技術による立国と人材による強国」の実現に向け、《AI基本法》の実施に関する重要な進捗や、関連産業と教育におけるAI人材の計画について、報告した。卓栄泰・行政院長は、《AI基本法》が1月に施行されたところ、行政院は「国家AI戦略特別委員会」を設立し、全国のAI業務を全面的に調整、推進及び監督・指導していくと述べた。
国家科学及び技術委員会(国科会)の説明によると、同委員会のレベルは行政院級に相当し、委員は、中央の行政院長、副院長、複数の政務委員及び省庁の長等、地方首長、民間代表、並びに学者・専門家から構成され、招集人・副招集人は行政院長・副院長が担当し、執行秘書は国科会の主任委員が担当する。国科会が台湾初となる「国家AI発展綱領」の起草を統括し、その後同委員会が審議し策定する。
今後の《AI基本法》の実施に向けて、卓栄泰・院長は各省庁及び地方政府に対し、期日通りに三大任務を推進するよう指示した。まず、各政府機関は今年7月までに公務におけるAI利用のリスク評価を完了し、1年以内に内部管理規則の策定を完了する。次に、省庁横断的にAI教育、人材及びインフラ等の共通事項を推進し、デジタル発展部がAIリスク分類枠組みと検証ツール、健全なデータガバナンス法制を推進する。第三に、各目的事業主務官庁は必ず再来年1月までに、所管分野におけるAI応用リスクについて、管理規範と産業ガイドラインを策定し、法規調整と行政措置の改善を完了する。
国家のAIトランスフォーメーションという重大改革にあたり、省庁横断的な大規模な調整が見込まれるため、国科会は、葉俊顕、呉誠文、林明昕の3人の政務委員で構成される「デジタル政策法制調整プロジェクト会議」を通じて調整を統括していくと説明した。
今後の任務に関し、短期目標として7月に明らかになる予定の「公務AIリスク評価」があるが、これにはデジタル発展部が作成したAIリスク分類枠組みの草案が関係する。候宜秀・次長は、同草案はすでに行政院に提出されており、前出の3人の政務委員による会議によって22日に審査され、速やかに通過し公表されることを望んでいると述べた。
デジタル発展部と教育部は、院会でAI人材計画を報告した。産業人材に関して、卓栄泰・院長は次のとおり発表した。デジタル発展部はAI人材認定ガイドライン3.0の枠組みを構築し、人材を応用、開発、研究の3カテゴリーに分けた。また、今年第1四半期には25のエコシステムパートナーと連携し、AI関連コースの参加人数は延べ約3,600人となった。今後、デジタル発展部と行政院人事行政総処は、政府機関がAI人材育成を推進する際の指針として、6月に「AI公務人材認定ガイドライン」を公表する予定である。
(2026.06.02 聯合報全訳)
4-4 司法院の人事異動!鄭純惠氏が智慧財産法院院長、劉方慈氏が高等法院金門分院院長に就任することが決定
司法院は本日人事審議委員会を開催し、最高法院の法官であり以前大法官候補でもあった鄭純惠氏が智慧財産及び商業法院の院長に就任すること、高等法院金門分院の院長に最高法院の調弁事法官である劉方慈氏が就任することを決議した。
また、司法院人事審議委員会は、苗栗地方法院院長の黄潔茹氏が桃園地方法院院長に就任すること、連江地方法院院長の游文科氏が苗栗地方法院院長に就任すること、高等法院台中分院法官の李進清氏が南投地方法院院長に就任すること、台湾高等法院法官の范明達氏が福建連江地方法院院長に就任することを決議した。
人事異動には、最高法院法官の林恆吉氏の最高法院法庭長への異動、元高等法院金門分院院長の邱志平氏と智慧財産法院院長の陳駿璧氏の懲戒法院法官への異動も含まれる。最高法院の調弁事法官である高玉舜氏、蔡廣昇氏、呉冠霆氏は最高法院法官に異動し、最高行政法院の調弁事法官である林欣蓉氏、台北高等行政法院の庭長である洪慕芳法氏と法官である侯志融氏は、最高行政法院の法官に異動する。
司法院人事審議委員会は、高等法院の庭長である林翠華氏、呉淑惠氏、法官である沈佳宜氏、紀文惠氏、陳蒨儀氏、呉麗英氏、黎惠萍氏、楊志雄氏、雷淑雯氏、王耀興氏、高等法院台中分院の法官である柯志民氏、高等法院台南分院の法官である李秋瑩氏、高等法院高雄分院の法官である林家聖氏、智慧財産法院の法官である蔡惠如氏の14名を最高法院に異動させて審判事務を担当させることを決議した。桃園地方法院の院長である黄莉雲氏は高等法院の法官となり、最高法院での審判事務を担当する。台北高等行政法院の法官である林家賢氏は最高行政法院に異動し、審判事務を担当する。
司法院は、最高法院の調弁事法官である陳如玲氏、王怡雯氏、管靜怡氏、林怡秀氏、張永宏氏、何俏美氏、蔡孟珊氏の7名を高等法院の法官兼庭長に任命し、最高法院の審判事務を担当する法官である林慧貞氏、南投地方法院の院長である王邁揚氏の2名を高等法院台中分院の庭長に任命した。
また、最高行政法院の審判事務を担当する法官である李君豪氏、陳文燦氏の2名は台北高等行政法院の法官兼法廷長になり、最高法院の審判事務を担当する法官である藍雅清氏は高等法院の法官となる。
(2026.06.03 経済日報全訳)
4-5 AIが報道業界に与える衝撃 デジタル発展部が共同の収益分配プラットフォームを構築
AIによる大規模かつ無償でのニュースコンテンツの収集は、報道業界に衝撃を与えている。経済部智慧財産局は昨日(2日)、生成AIが他者の著作権で保護されたコンテンツを大量に利用することは、国際的には「複製」にあたると認められ、権利侵害のリスクがあるとみなされることが多いが、まだ統一的な法的見解はないと述べた。デジタル発展部は、引き続き国際動向を観察し、関係省庁とともにデータ利用に関する施策を検討すると述べた。
台湾における対応については、デジタル発展部は、林宜敬部長がかつて、AI技術の発展が速すぎるため、立法が必ずしも最善の方法ではないかもしれないと述べた点を指摘した。国際的な経験を踏まえ、「報道の価値」という精神と「市民が情報を取得する権利」のバランスを取るため、デジタル発展部は現在、「台湾優良メディア共同収益分配プラットフォーム」(仮称)を構築しているところである。市民の実際の閲覧行動に基づいて収益分配を決定し、市民が優良なコンテンツを直接支援するメカニズムを構築する。
AI時代におけるニュースコンテンツの権利の保護の仕方について、デジタル発展部は、引き続き動向を観察してデータ利用に関する施策を検討していくと述べた。
智慧局は、生成AIのトレーニング、開発又はサービス提供の過程で他者の著作権で保護されたコンテンツを大量に利用する場合、その多くは、国際的には「複製」にあたると認められるものであり、原則として著作権者の同意又は許諾を取得する必要があり、さもなければ権利侵害のリスクの可能性があると述べた。
智慧局は、近年米国では多くの報道機関が生成AI業者に対して訴訟を提起しているところ、その多くは司法審理の段階にあり、統一的かつ明確な法的見解はまだ形成されていないと指摘した。
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