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知財ニュース385号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.385)
発行年月日:2025年5月15日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2025年4月29日 智慧局ニュース全訳)
1-1 音楽とIPのリズム 創作保護を共に始動 講座イベントが無事終了
(2025年4月30日 智慧局ニュース全訳)
1-2 2025年第1四半期の知的財産権動向
(2025年5月7日 智慧局ニュース全訳)
1-3 デザインの創造性が更に進化!「2025新世代デザイン展」で智慧局が充実したサービスを再び提供する!
(2025年5月12日 智慧局ニュース全訳)
1-4 望む未来 想像する未来 智慧局が意匠保護の概念と実務をPR

2. 知的財産権紛争
(2025年4月26日 経済時報第B4面全訳)
2-1 栄成と永豊余の人材引き抜き争議が発生
(2025年4月30日 工商時報第B6面全訳)
2-2 ヘッドライト専利権利侵害事件 TYCがHYUNDAI、KIAと和解

1.智慧局ニュース

(2025.04.29 智慧局ニュース全訳)
1-1 音楽とIPのリズム 創作保護を共に始動 講座イベントが無事終了
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-1006913-8a214-1.html
2025世界知的財産の日(World IP Day)のテーマ「IP and music」に合わせて、経済部智慧財産局(TIPO、智慧局)、社団法人中華音楽著作権協会(MÜST)及び台北流行音楽中心(TMC)は、2025年4月29日に台北流行音楽中心の「Live House D」パフォーマンススペースにおいて《音楽とIPのリズム 創作保護を共に始動》と題した1日講座イベントを共同開催した。イベントには音楽産業界、学界、創作者等が積極的に参加し、午前・午後の部の合計参加人数は延べ150人を超え、現場は大いに盛り上がり、音楽と知的財産権に対する高い関心がうかがえた。
智慧局の廖承威・局長は、イベント開会の挨拶において、長期にわたり音楽産業に尽くしてきた中華音楽著作権協会及び台北流行音楽中心とともに今回の講座イベントを共同開催できたこと、音楽産業、法律、商業とテクノロジー等の様々な分野の講師が一堂に会することは、とても光栄であると述べた。また、世界知的所有権機関(WIPO)の2025年テーマ「IP and Music : Feel the Beat of IP」に呼応して、音楽創作の価値、音楽の分野を超えた協力の新たな可能性及び知的財産権保護の意義と重要性が明確に示されていると述べた。
イベントの午前の部では、2つのフォーラムですばらしい対談が行われた。最初のセッション「使用許諾チャットルーム:著作権とIP対応と運用」では、MÜSTの蔡琰儀・総経理、林桂瑩・弁護士、遠傳電信の蔡俊栄・娯楽事業運営長が対談し、デジタル時代における音楽使用許諾の法制及び実務面での規範及び対応について探求した。第二セッション「市場とのコンタクト:創作駆動×ビジネスバリュー」では、台北流行音楽中心の黄韻玲・董事長、ソングライターの李念和氏、名作の作詞家の黄婷氏及び柒拾陸號原子股份有限公司(Studio76 Original Productions Co., Ltd.)創設者の楊志光氏が対談し、音楽創作と商業力をいかにリンクさせて価値を発揮していくかについて情報共有された。
午後の部では、「個人創作経験の情報共有」と「AIテクノロジーと音楽」のテーマで2つの講演が開催された。まず、かつてゴールデン・ホース・アワードのベストオリジナルフィルムソング賞を受賞した呉易緯氏が、「創作の旅程:20年の景色と展望」と題して、自身の音楽の創作生涯の出発から過去20年の音楽の作詞・作曲の創作環境の変化を回顧し、未来の音楽産業の発展と趨勢に関する観察と展望を述べた。続いて、Master Tonesの創設者である李依哲氏が、「対立から共生へ:創作者に対するAI音楽と音声の抵抗と助力」と題して、音楽のAI創作ツールとリンクした長期研究を通じ、AIがどのように伝統的音楽の創作モデルを変えたかのか紹介し、さらに、AIツールがどのようにして音楽創作者に創作共生の新しい可能性を開くのか探求した。
智慧局は、デジタルテクノロジーが迅速に進化し、音楽の創作と伝播がますます多様化する中で、時代に合わせて対応し、創作者の権益保護に協力し、合法的な使用許諾を促進し、産業の発展とイノベーションのバランスを考慮していくことが、智慧局が引き続き推進し注視していく方向性であり、音楽と文化創作産業のためにさらなる勢いをもたらすことを目指すと述べた。

(2025.04 .30 智慧局ニュース全訳)
1-2 2025年第1四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1006954-6a502-1.html

一、専利・商標全体の出願動向

2025年第1四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は17,063件(特許12,202件、実用新案3,232件、意匠1,629件)で、前年(2024年)同期比1%増となった。そのうち特許は前年同期比2%増となった(図1参照)。台湾人及び外国人による三種類の専利出願件数の割合は、それぞれ47%、53%であり、台湾人による出願件数は前年同期比2%減となる一方で、外国人による出願件数は同5%増となった。
商標登録出願件数は21,099件であった。1件の商標登録出願で複数の区分を指定することができるため、出願区分数は27,445区分となり、2%増となった。そのうち台湾人が占める割合は77%、外国人が占める割合は23%となった。商標の出願区分数は、徐々に回復傾向にある(図2参照)。

二、台湾出願人による専利出願状況

(一)特許出願件数上位10出願人、TSMCが6連覇
台湾出願人による特許出願は4,355件、そのうち企業による出願は3,534件となった。特許出願件数上位10出願人は、台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数305件で首位、以降、南亜科技(NANYA)127件、台達電(DELTA)82件、群創(INNOLUX)80件、友達光電(AUO)76件、瑞昱(Realtek)72件、鴻海(Foxconn)69件、聯發科(MediaTek)59件、英業達(Inventec)54件、宏碁(Acer)47件と続いた(図4参照)。そのうちTSMCは2020年第1四半期から6年連続で首位となった。また、DELTAの件数と順位がともに同社の単四半期としての史上最高実績となった点も、注目に値する。

(二)意匠出願件数上位5出願人
台湾出願人による意匠出願は682件となった。出願件数上位5出願人は、聯府塑膠(KEYWAY)が27件で首位、以降、唐虞(TARNG YU ENTERPRISE CO., LTD.)22件、宏碁(ACER)18件、皇冠金属(CROWN MFG CORP.)12件、統亜電子(TONG YAH ELECTRONIC TECHNOLOGY CO., LTD)、愛進化(EVOLUTIVE LABS CO., LTD.)、欣大園芸(SHIN TAI SPURT WATER OF THE GARDEN TOOLS CO., LTD.)及び家登(GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO., LTD.)が各9件となった(図5参照)。そのうちKEYWAYは2年連続で1位となり、愛進化及び家登は初めて上位5位にランクインした。

(三)高等教育機関による特許出願の件数上位10出願人
台湾の高等教育機関による特許出願は364件となった。出願件数上位10出願人は、明志科技大学が24件で第1位、以降、国立清華大学23件、国立台湾科技大学と国立陽明交通大学が各21件、国立台湾大学18件、国立成功大学、国立雲林科技大学及び国立高雄科技大学が各15件、国立中央大学14件、国立中山大学13件と続いた(表1参照)。そのうち、明志科技大学は高等教育機関の中で初めて首位となり、件数及び順位ともに同大学の単四半期としての史上最高記録となった。

(四)研究機関及び国営事業による特許出願
台湾の研究機関による特許出願は72件で、工業技術研究院(ITRI)が38件で最多となった(表2参照)。台湾の国営事業による特許出願件数は18件で、台湾銀行が10件で最多となった。

三、外国出願人による専利出願状況

(一)特許出願人の国籍分析
外国出願人による特許出願は7,847件で、上位5か国(地域)は、日本が出願件数3,538件で1位、以降、米国の1,624件、韓国の828件、中国の706件、ドイツの230件と続いた(図3参照)。当該5か国(地域)の出願件数はいずれもプラス成長で、そのうち日本と韓国は前年同期比でそれぞれ213件増と113件増となっており、台湾市場がますます重視されていることを示している。

(二)外国出願人による特許出願の件数上位10出願人
外国出願人による特許出願の上位10出願人は、米国のアプライド・マテリアルズ(Applied Materials)が出願件数263件で1位、以降、順に、日本の東京エレクトロン236件、韓国の韓領221件、韓国のサムスン電子(SAMSUNG)198件、日本の日東電工154件、日本のキオクシア153件、米国のクアルコム(Qualcomm)144件、日本の富士フイルム91件、米国のラムリサーチ(Lam Research)89件、日本のパナソニックIPマネジメント株式会社72件と続いた(図4参照)。
アプライド・マテリアルズは3年連続で首位となり、東京エレクトロン、キオクシア、ラムリサーチ及びパナソニックIPマネジメント株式会社の5社は、それぞれ各社の単四半期として史上最高の記録を達成した。台湾が世界の半導体生産と研究開発における戦略的役割を担っていることを浮き彫りにし、周辺設備のサプライヤー等がその技術と市場保護を強化するために進出しているだけでなく、台湾はその技術力と充実した知財保護により、外国企業による事業展開を引き寄せている。

(三)意匠出願の国籍分析
外国出願人による意匠出願は947件で、上位5か国(地域)は、米国が219件で最多、以降、日本の212件、中国の160件、スイスの79件、韓国の54件と続いた(図3参照)。そのうち米国は今季日本を抜いて首位となった。

(四)外国出願人による意匠出願の件数上位5出願人
外国出願人による意匠出願の件数上位5出願人は、中国の北京石頭世紀(BEIJING ROBOROCK TECHNOLOGY CO., LTD.)が58件で最多、以降、米国のアップルが45件、米国のモレックス(MOLEX INCORPORATED)が37件、スイスのハリー・ウィンストン(HARRY WINSTON S.A.)が31件、フランスのルノー(RENAULT S.A.S)が30件と続いた(図5参照)。上位5出願人による出願件数はいずれもプラス成長しており、台湾市場がより重要視され、積極的にリソースを投入して製品デザインの競争で優勢を確保する必要があることが明らかとなった。

四、商標登録出願状況

(一)台湾人による商標登録出願の件数上位10出願人
台湾人による商標登録出願は16,188件で、上位10出願人は、統一企業が122件で首位、以降、台鋼ホークスが111件、棨泰健康(CHE TAI INTERNATIONAL CO., LTD.)が87件、南一書局が83件、星翰が75件、琥珀東福(Amber Dong Fu Trading Company Ltd.)及び捷立康生物科技(A-TOP Health BIOTECH CO., LTD.)が各43件、中華郵政が42件、亜果元素(ADAM elements)が40件、緯來電視網(VIDEOLAND INC.)が38件と続いた(表3参照)。上位10出願人のうち統一企業以外はいずれもプラス成長となった。

(二)台湾人による出願の区分
台湾出願人による出願の上位3区分は、順に、第35類(広告、企業経営及び卸小売りサービス等)3,179件、第43類(レストラン、宿泊施設等)1,529件、第30類(コーヒー・茶及びケーキ等)1,352件となった(図7参照)。台湾企業による商標出願が企業経営、民生消費に関するレストラン・宿泊サービス及びコーヒー、ケーキ等の商品区分に集中していることが示されている。

(三)外国出願人の国籍分析
外国出願人による商標登録出願は4,911件で、上位5か国(地域)は、中国が1,212件で最多、以降、日本757件、米国708件、韓国633件、シンガポール223件となった(図6参照)。中国以外の4か国の件数はいずれも増加し、日本、韓国及びシンガポール等のアジアの国は2年連続でプラス成長となっており、各国企業が台湾市場での商標ブランド保護を強化していることが分かる。

(四)外国人による商標登録出願の件数上位10出願人
外国人による商標登録出願の件数上位10出願人は、韓国の杰偉品文化(JYP ENTERTAINMENT CORPORATION)が63件で1位、以降、韓国の慕新颯(MUSINSA CO., LTD.)が60件、中国の好孩子兒童用品(GOODBABY CHILD PRODUCTS CO., LTD.)が42件、米国のGR営運(GR OPCO, LLC)が41件、中国のファーウェイが34件、中国の黄承芳が33件、ケイマン諸島のテンセントが26件、韓国の布魯格里斯(BLOOMING GRACE CO., LTD.)が25件、香港の茶悅文化(CYYS (HK) BRAND MANAGEMENT LIMITED)が24件、米国の羅爾(THE ROW HOLDINGS GROUP LLC)が22件と続いた(表4参照)。上位10出願人のうちテンセントが38%減となったが、それ以外はいずれもプラス成長となった。

(五)外国人による出願の区分
外国人による出願の上位3区分は、順に第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)966件、第35類(広告、企業経営及び卸小売業等)623件、第3類(化粧品、洗浄剤等)550件となった(図8参照)。外国人が台湾での商標保護のために出願する場合、コンピューター及びテクノロジー製品(第9類)が中心であり、出願件数が最多であるだけでなく、成長率も比較的高い。

(六)産業別分析
台湾が受理した商標登録出願は、「農業食材」が5,190件で各産業の中で1位、以降、「ヘルスケア」4,337件、「商業金融」4,289件となった(図9参照)。
上位3産業の商標登録出願についてみると、台湾出願人の場合は「農業食材」が4,361件で最多となり(図10参照)、主にレストラン及び宿泊施設の商標件数が多かった。外国出願人の場合は「技術研究」が1,477件で最多であった(図11参照)。このほか、台湾出願人は「商業金融」、外国出願人は「技術研究」、「ヘルスケア」及び「服飾装飾品」の出願件数がプラス成長した。

注:上述の統計データの出願人及び国籍ランキングは、出願の「第1出願人」を計算の基礎とする。

2025年第1四半期の「四半期統計表」は、智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-167-1006915-5d04d-1.html)を参照。

※2024年第1四半期の知的財産権趨勢図表(本記事において参照している図表)は、智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1006954-6a502-1.html)の「檔案下載(ファイルダウンロード)を参照(中国語:智慧局114年第1季智慧財産權趨勢)。

(2025.05.07 智慧局ニュース全訳)
1-3 デザインの創造性が更に進化!「2025新世代デザイン展」で智慧局が充実したサービスを再び提供する!
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1006907-22451-1.html
専利知識を普及し、大衆に専利のオリジナルデザインの重要性を理解してもらい、特に卒業したばかりの新人デザイナー及びクリエイターに専利制度を理解してもらうため、智慧局は「2025新世代デザイン展」において「台湾専利超級站」を設置し、非常に充実した「専利充電サービス」を提供して、創意から専利まで、あなたをエスコートする。

専利充電サービス:
一、意匠コンサルティングコーナー
展覧会の期間中、智慧局から専門職員を派遣し、意匠に関する出願、審査及び情報検索等の無料コンサルティングサービスを提供する。新人かすでに作品を有しているかに関係なく、誰でも、専利についての疑問を相談しにきていただきたい。現場では「専利コーヒー」を提供し、リラックスした状態で対話をしていただく。
日時:5/9(金)~5/12(月)10:00-17:00(週末は18:00まで延長)
場所:「台湾専利超級站」(南港展覽館2館1F S-06ブース)

二、デザイナーが知っておくべき知的財産権講座
デザインを仕事にしている者にとって、創意を具体的な作品へ転化した後、自己の創作についての権利をいかにして効果的に保護するかが重要である。意匠は法的保護ツールであるだけでなく、創作価値や商業ポテンシャルを高めるツールでもなる。今後のキャリア発展における競争優位性を増強するため、意匠の実務応用について深く理解できるように、講師が解説する。
講師:経済部智慧財産局 黄如瑛・専利審査委員
講義テーマ:専利を知ることは素晴らしい デザイン創出は保護できる
日時:5/9(金)14:30~15:20
場所:南港展覽館2館4F P-03ブース

(2025.05.12 智慧局ニュース全訳)
1-4 望む未来 想像する未来 智慧局が意匠保護の概念と実務をPR
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-1008582-0f617-1.html
経済部智慧財産局は5月9日~12日に、台湾最大級のデザイン展「2025第44回新世代デザイン展」に参加した。会場内に設置した「台湾専利超級站」には多くのデザイン科の学生、教師及び産業界関係者が参加し、大いに賑わった。智慧局は、会場での展示、無料コンサルティングサービス及び専門講座を通して積極的に意匠保護の概念を推進し、新人デザイナーの知的財産意識を強化して、彼らの将来のキャリア開発の強固な基盤を築くことを目指した。

智慧局は今回、展覧会のテーマ「望む未来 想像する未来」に合わせ、専利保護と密接に関連した一連の施策について解説した。また、専利審査官が5月9日午後に専門講座を開催し、各界での意匠の認知と活用を促進し、学生が将来のキャリアにおいて創造性を発揮して自分の創作物を保護できるよう支援した。

智慧局は、「台湾専利超級站」では、意匠登録出願の手順について展示しただけでなく、専門スタッフが現場でコンサルティングサービスを提供し、学生が知的財産権の保護システムを通して創意の成果を実質的な競争力に転換することを奨励した。現場のコンサルティングサービスは参加した学生・教師から歓迎され、多くの学生が、初めて意匠の重要性を理解し、将来の創作や起業計画に対する自信が持てたと述べた。

智慧局は、デザインは創意の現れであり、専利は創意を保護するツールであること、今後も引き続き主要な展示会やイベントで「台湾専利超級站」を活用して革新的なデザイン、起業、発明者に関する専利知識とサポートサービスを提供し、友好的な創造と発展の環境を構築していくことを強調した。智慧局は、今回参加した「新世代デザイン展」は、智慧局と若いクリエイターとの対面交流の機会になっただけでなく、革新的デザインと知的財産の保護を並行して促進するという政府の決意と行動力を示すものとなったと捉えている。

2.知的財産権紛争

(2025.04.26 経済日報第B4面全訳)
2-1 栄成と永豊余の人材引き抜き争議が発生
2大製紙メーカーの争いが表沙汰になった。栄成紙業(Longchen Paper & Packaging Co., Ltd., 以下「栄成」という)は昨日(25日)、傘下の重要な研究開発の職員が2024年末に永豊余工業用紙(YFY PACKAGING INC., 以下「永豊余工紙」という)に転職し、営業秘密を持ち出して使用した疑いがあるとして告訴し、司法機関が調査に入っていると述べた。永豊余工紙は3点の声明を発表し、採用活動は合法であること、いかなる機密資料も使用していないこと、違法行為に関与していないことを強調した。
栄成は、2024年11月末に離職した、中心的な研究開発の責任者1名が、離職3か月前に永豊余工紙の上層部と接触し、面接し、合格となったことが発端であると述べた。この職員は離職前に営業秘密を含む会社の資料をダウンロードし、バックアップを取り、栄成と交わした秘密保持契約に違反した疑いがある。司法機関が居所等の関連場所を捜索した結果、関係する電子ファイルが押収され、当該職員は現在、《営業秘密法》及び《刑法の業務上知悉した工・商業秘密を漏洩した罪》に係る疑いをかけられている。
この件について、永豊余工紙は3点を明らかにした。まず、会社は幅広い採用メカニズムを採っており、故意に栄成から引き抜いたわけではなく、嫌疑をかけられた職員は自ら応募しており、会社は自発的に接触していない。第二に、永豊余工紙は、栄成の前職員が離職時に資料を持ち出したかどうか知らず、栄成のいかなる営業秘密に関する内容も使用しておらず、当該内容に接触してもいない。第三に、これらの職員の永豊余工紙での職務の業務内容は、栄成での職務とは実質的に異なるので、機密技術の流用をすることはできない。

(2025.04.30 工商時報第B6面全訳)
2-2 ヘッドライト専利権利侵害事件 TYCがHYUNDAI、KIAと和解
ヘッドライト部品メーカーの堤維西(TYC)は、2021年に韓国のヒョンデ(HYUNDAI)、キア(KIA)から専利権を侵害したとして民事訴訟を提起されていたが、29日、TYCは重大ニュースとして本件について和解したと発表した。
TYCは、各社ともすでに正式に和解契約に署名し、今後他方に対し本件に関する権利を主張しないことや訴訟提起しないことに同意したと説明し、和解契約の詳細については契約における機密保持条項に基づき開示できないとした。
TYCは2021年6月、HYUNDAI及びKIAが同年5月に米国カリフォルニア州裁判所においてTYC及びその米国子会社に対して専利権侵害の民事訴訟を提起し、TYC及びその米国子会社であるGENERA CORPが専利番号第478、931号等のヘッドライト専利を侵害していると主張したと発表した。
TYCは米国子会社と共同で弁護士に処理を委任し、4年の訴訟を経て29日、ついに和解契約に至り、一件落着となった。TYCは、同社の財務及び業績に対する重大なマイナスの影響はないと述べている。
実際のところ、台湾のヘッドライトメーカーが海外メーカーから訴訟を提起されたのは、これが初めてではない。2019年にHYUNDAIは米国で帝宝(DEPO)及びその米国子会社に対して関連する専利権侵害訴訟を提起しており、翌年に和解した。

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