発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.383)
発行年月日:2025年4月15日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2025年3月25日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条の改訂予告
(2025年3月26日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「2025台欧生成AIシンポジウム」:生成AIの潮流における知的財産権の課題と対応策
(2025年3月31日 智慧局ニュース全訳)
1-3 2025年第1四半期の各国における標準必須特許(SEP)に関する政策動向
(2025年4月8日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「専利法一部条文改正草案」(第1稿)予告期間における外界からの改正提案と本局の検討結果・回答の説明
2. 模倣品関連
(2025年3月18日 刑事警察局ニュース全訳)
2-1 刑事局は台湾全土で最大の任天堂SWICHゲーム機改造案件を摘発 海賊版ゲーム1万種超を押収 権利侵害市場価格は1億台湾元超
(2025年3月21日 刑事警察局ニュース全訳)
2-2 英、日、韓、中の多言語海賊版ゲーム機「月光寶盒」を押収 権利侵害市場価格は1億台湾元超
1.智慧局ニュース
(2025.03.25 智慧局ニュース全訳)
1-1 「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条の改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-1001181-b8e27-1.html
経済部公告
発行日:2025年3月20日
文書番号:経授智字第11452800160号
添付:「商標手数料徴収基準第7条の1、第8条」改訂草案(総説明及び条文対照表)。
主旨:「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条の改訂予告。
根拠法:行政手続法第151条第2項準用の第154条第1項。
公告事項:
1. 改訂機関:経済部。
2. 改訂根拠法:商標法第104条。
3. 商標手数料徴収基準第7条の1、第8条の改訂草案は、上記智慧局リンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」(中国語)、又は経済部智慧財産局ウェブサイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/mp-1.html)(経済部主管法規検索システム/草案予告フォーラム(https://law.moea.gov.tw/DraftForum.aspx?page=2)にもリンクあり)からダウンロード可能。
4. 公告内容に対する意見や修正提案がある場合は、本公告が公報に掲載された翌日から起算して60日以内に意見を提出するか、以下に連絡すること。
(1) 担当部署:經濟部智慧財産局商標権組
(2) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(3) 担当者:陳商標シニア審査官
(4) 電話:(02)2376-6142
(5) FAX:(02)2735-9095
(6) 電子メール:ipotr@tipo.gov.tw
※なお、「商標手数料徴収基準第7条の1、第8条改訂案総説明」の内容は以下のとおり。
商標手数料徴収基準第7条の1、第8条改訂案総説明
商標手数料徴収基準(以下、本基準という)は1994年7月1日に制定公布され、6回の改訂を経ており、直近では2024年5月1日に改訂された。
商標法第6条第3項には、商標代理人は商標主務官庁が実施する商標専門能力認証試験に合格したものであることと規定されている。また、商標代理人登録及び管理弁法第2条には、商標専門能力認証試験は毎年又は隔年1回開催するが、試験の需要に応じてその回数を増減又は実施停止することが規定されている。商標専門能力認証制度の推進のため、当該専門能力認証試験の行政手数料は、利用者負担の原則に基づき、手数料法第7条、商標法第104条等の関連規定により、本基準第7条の1、第8条の改訂草案において、商標専門能力認証試験の申込費用及びその施行日を新設した。
(2025.03.26 智慧局ニュース全訳)
1-2 「2025台欧生成AIシンポジウム」:生成AIの潮流における知的財産権の課題と対応策
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1001195-94084-1.html
「2025台欧生成AIシンポジウム」は2025年3月25日(火)午後、台湾大学法律学院霖澤館にて開催され、経済部智慧財産局の廖承威・局長、欧州経貿弁事処(European Economic and Trade Office in Taiwan, EETOT)のLutz Güllner処長が貴賓挨拶を行った。
今回のAIシンポジウムでは人工知能(AI)と著作権が関わる問題に焦点が当てられ、台湾と欧州から官民の専門家が講師として招聘された。最初のセッションでは、欧州委員会通商総局の政策担当官であるAnneli Andresson政策官から、EUの「デジタル単一市場指令(DSM指令)」におけるデータマイニングの例外と、「AI法」における著作権関連の規定が紹介された。このほど可決された「AI法」では、汎用AIのプロバイダーに対し、EUの著作権法を遵守するためのポリシーを策定し、モデルトレーニングデータの概要開示を義務付けている。講師のプレゼンテーションの中で、現在AIオフィスで制定している概要テンプレート及びその関連原則、構造、テンプレートに対するさまざまなステークホルダーの意見が共有された。
第2セッションの講師は本局著作権組の高嘉鴻・科長で、生成AIと著作権の議題について、国際法規と実務動向について情報共有した。高嘉鴻・科長は、現在、世界ではまだ生成AIに特化した著作権法改正は行われておらず、AI業者がトレーニングデータの合法許諾を求める事例があることを説明し、さらに、知的財産は高度な国際調和が図られるものであるところ、AI と著作権の法制度には幅広い論点があり、著作権者の利益の保護とAI産業発展のバランスをどう取るかについては慎重な対応が必要であると指摘し、智慧局は引き続き各国の対応や動向を積極的に注視していくと述べた。
第3セッションは、ドイツのAleph Alpha社のAmit Datta副法務顧問が講師を務め、産業界の観点からEUのAI法による法的、実務的影響について議論した。講師はAleph Alpha社の背景、現状と今後の発展について紹介し、生成AI技術と産業応用における成果と戦略を説明するとともに、データマイニングの例外による権利者の「オプトアウト」オプションの運用実務やデータ保護規範とAIモデルとの関係を含むEUのAI関連規制、及び、AIのリスクレベルの監督、汎用AIモデルの義務、法規制の実施スケジュール、関連行為の規則等の「AI法」の要点を分析し、最後に、法規がもたらす影響の可能性について議論した。
第4セッションの講師は国家実験研究院(NARLabs)の樊晉源・組長であり、講演内容は4パートに分かれていた。最初のパートでは、2023年4月に開始した、信頼性の高いAI対話エンジン作成のためのTAIDEプロジェクトが紹介され、TAIDE が取得したトレーニングデータのソースとして政府部門や民間機関が紹介された。2つ目のパートでは、データの多様性、複雑な許諾、著作権のフェアユースの範囲がまだ確定されていない等の、データ収集と処理の際にTAIDE が直面する課題が紹介された。3つ目のパートでは、データのクリーニングとトレーニングについて、データ処理プロセス、データリストの作成、データの匿名化等が紹介された。最後の4つ目のパートでは、主に著作権のフェアユースの余地の有無の観点から、データ利用とモデルのトレーニングにおけるTAIDE プロジェクトの課題を紹介し、政策の方向性について提案がされた。
本シンポジウムは産業界、学術界、法曹界等の各分野から多くの関心を集め、参加者は合計185名であった。会場は満席で、活発な議論がなされた。4名の講師は異なる角度から課題に切り込み、AIと著作権の問題についての参加者の理解を深化させただけでなく、産官学界の交流と対話も促進した。参加者は、AI応用の発展を理解すると同時に、著作権の適切な保護とAIテクノロジーの持続的発展の確保のために関連する法的・実務的課題に積極的に対応する必要があることを理解した。
(2023.03.31 智慧局ニュース全訳)
1-3 2025年第1四半期の各国における標準必須特許(SEP)に関する政策動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1001231-f8fed-1.html
世界で標準必須特許(Standard Essential Patent, SEP)への関心が日増しに高まる中、各国の政策動向も変化し続けている。智慧局は、欧州連合、世界知的所有権機関(WIPO)、英国、米国、日本、韓国のSEPに関する事件と政策動向を継続的に追跡しており、インターネットに公開されたSEP関連ニュースを収集して分析整理し、SEPの動向調査報告書を完成させた。産業界がSEPについてより一層理解し、主要マーケットでの専利ポートフォリオ展開の戦略を把握するのに役立つものとなることを期待する。
欧州委員会は2月11日、2023年に提出したSEP管理管轄法案を含む、複数の法案の撤回を発表した。撤回の理由は、合意が達成される可能性が予見できないためであり、新しい提案を提出するか、その他の処理方法を採択するか、検討していく。当初の提案には、能力センター、SEP登録データベース、技術標準の必要性の評価、FRAND判定の流れ、SEP許諾権利金の管理管轄等の制度の構築が含まれていた。現在、SEP保有者と潜在的なライセンシーとの間には依然として既存の許諾交渉モデルがあり、標準化団体SDO(Standards developing organizations)が、技術標準の開発において重要な役割を担っている。
今季のSEP動向調査報告では、読者がEUの技術標準とSEPの現状について理解できるよう、欧州電気通信標準化機構(ETSI)を紹介している。文章は5つのパートに分けられる。ETSIの設立と使命では、創立目的とEU及び世界における役割を紹介している。主な目的は、世界に適用される情報通信技術標準の策定と市場への応用の推進である。次に、利害関係者のニーズを調和させ、法律規範を遵守するという、ETSIが標準策定時に直面した課題について論じている。専利許諾の過程において、ETSIが直接ビジネス交渉に参加する役割を担うことはないが、許諾は公平、合理的、非差別的という原則に基づかねばならず、紛争は各国の裁判所で処理すると強調している。ETSIの使命のパートでは、技術競争力を維持するため、欧州委員会と欧州自由貿易連合の要請のもと、将来的にSEPの確認を行う可能性があることを紹介している。最後に、ETSI IPデータベースを利用することによって、当該データベースがどのように会員のSEPの申告と照会に役立ち、許諾の透明性を向上させるかについて説明している。
本報告の趣旨は、世界のSEPに関する政策動向の最新情報を提供することである。参考にしていただきたい。本稿に関する問い合わせやより詳しい情報については以下に連絡いただきたい。
担当:専利審査二組通訊審査科 徐雨弘・科長
Tel:(02)2376-7216
E-mail:gogo20378@tipo.gov.tw
*「2025年第1四半期の標準必須特許の動向調査報告書(中国語)」は上記URLの「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能。
(2025.04.08 智慧局ニュース)
1-4 「専利法一部条文改正草案」(第1稿)予告期間における外界からの改正提案と本局の検討結果・回答の説明
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-1001327-41dbf-1.html
本局は2024年9月11日、専利法一部条文改正草案(第1稿)を公告し、同年11月4日に公聴会を開催し、11月10日に予告期間が満了した。予告期間に各界から寄せられた法改正への意見・提案に感謝する。第1稿草案予告に対する外界からの意見について、「専利法一部条文改正草案(第1稿)予告期間における外界からの改正提案と本局の検討結果・回答の説明」を文書にまとめた。詳細はファイルを参照のこと。
また、本局では多数回の会議で慎重に検討し、公聴会と外界からの意見を十分に参酌して改正条文第2稿を起草し、2025年3月21日に当ウェブサイトにて公告している。参考にしていただきたい。
※「専利法一部条文改正草案(第1稿)予告期間における外界からの改正提案と本局の検討結果・回答の説明」は上記ウェブサイトの檔案下載(ファイルダウンロード)からダウンロード可能(中国語)。
なお、「改正条文第2稿」については前号(知財ニュース382号)に関連記事あり(1-4 「専利法一部条文改正草案」第2稿を発表):
2.模倣品関連
(2025.03.18 刑事警察局ニュース全訳)
2-1 刑事局は台湾全土で最大の任天堂SWICHゲーム機改造案件を摘発 海賊版ゲーム1万種超を押収 権利侵害市場価格は1億台湾元超
www.cib.npa.gov.tw/ch/app/news/view?module=news&id=1885&serno=1008d182-c456-4b8c-82ce-35b48fe7a56c
1. 捜査部署:刑事警察局知的財産権捜査大隊、花蓮県警察局刑事警察大隊
2. 捜査時期:2024年9月
3. 捜査場所:花蓮県花蓮市
4. 容疑者:陳(男、1979年生まれ)。
5. 押収された証拠物:改造チップ20組、改造ケーブル 、改造済みSWICHゲーム機1台、溶接機1台、電子顕微鏡1台、PCサーバー1台(帳簿、ユーザーリスト、海賊版SWICHゲーム2万4,830本を含む)、NAS(50T)サーバー1台(海賊版SWICHゲーム5万4,101本を含む)、納品書、帳簿、電磁的記録及びスマホ1台等。
6. 事件の概要:
(1) 刑事警察局は任天堂SWICHの不法改造機のインターネット上の出品先を継続的に取り締った結果、FACEBOOKファンページを利用して販売広告を継続的に掲載し、当日中に改造可能で購入後は会員専門のLINEグループに加入可能であると標榜していた不法SWICH改造機の販売者を発見したので、プロジェクトチームを立ち上げ調査に入った。日商任天堂株式会社が台湾の告訴代理人に委任し、任天堂の著作財産権を侵害したとして告訴した。著作権者が訴訟を提起したことから、本件は法に基づき捜査された。
(2) 刑事警察局と花蓮県警察局刑事警察大隊が協力しプロジェクトチームを立ち上げ、分析を行い、SWICHを不法改造した者の実際の所在地を洗い出し、長期にわたり追跡・監視及び証拠収集を行ったところ、陳容疑者がある宅配営業所の住所を荷物の受け取り先として利用し、警察の調査を逃れていたことを突き止めた。また、陳容疑者は機械を改造した当日に購入者に郵送しており、改造の痕跡を残さないようにするため、自分の身の周りに改造済み商品を置かなかった。十分な証拠が収集された後、プロジェクトチームは2024年9月に台湾花蓮地方裁判所の捜査令状を持参し、容疑者が実際に機械改造を行った場所を捜査した。調査の後、著作権法違反の疑いで陳容疑者を台湾花蓮地方検察署へ送検した。
(3) 今回SWICH改造機の販売が発覚した販売者からは、1万種類を超える海賊版SWICHゲームが押収された。容疑者は2年もの間に850台を販売しており、権利者が見積もった権利侵害市場価格は1億台湾元(約4億5,500万円)超にも及ぶ。また、今回インターネット上で販売されたSWICH不法改造機は数千種類の海賊版SWICHゲームをプレイすることができ、直接ゲーム機内にダウンロードするため、台湾の知的財産権保護の推進に影響するだけでなく、日本及び米国の任天堂の著作財産権を著しく侵害するものである。
(4) 海賊版ゲームをインストールすることで著作権を侵害するだけでなく、改造行為に従事することで著作権法第80条の2の「無断複製防止措置」関連規定に抵触する。警察は、SWICHゲーム機の不法改造機を購入しないよう、また海賊版ゲーム機で遊ばないよう注意喚起している。警察は引き続き関連案件の捜査を強化し、台湾の知的財産権の保護に努める。
(2025.03.21 刑事警察局ニュース全訳)
2-2 英、日、韓、中の多言語海賊版ゲーム機「月光寶盒」を押収 権利侵害市場価格は1億台湾元超
www.cib.npa.gov.tw/ch/app/news/view?module=news&id=1885&serno=7e6a832c-71f1-4c35-9d3f-805e907fc12c
1. 捜査部署:刑事警察局知的財産権捜査大隊
2. 捜査時期:2024年10月15日
3. 捜査場所:台中市大雅区
4. 容疑者:詹(男、1992年生まれ)、陳(女、1991年生まれ)。
5. 押収された証拠物:アーケードゲーム機、携帯型ゲーム機119台(そのうち、日商任天堂等の複数企業の英語、日本語、韓国語、中国語の多言語海賊版ゲームソフト945,871セットを含む)
6. 事件の概要:
(1) 刑事警察局知的財産権捜査大隊(偵三隊)は、PSP(PlayStation Portable)の代表的ゲームの三国無双全集、N64(NINTENDO 64)の代表的ゲームのレースゲーム、DC(Dreamcast)の代表的ゲームThe King of Fighters全集等の英語、日本語、韓国語、中国語等の多言語・数万種のゲームを含む安価な「2万種のゲーム内蔵の2人用アーケードゲーム機月光寶盒グレードアップ版」を不法業者がインターネット上で販売し、消費者の購買意欲を誘っていることを発見した。統計によるとすでに4千台余りが販売され、100万台湾元(450万円)以上の不法な利益が得られている。容疑者はインターネットプラットフォームを利用し、使用許諾を得ていないゲームソフトのゲーム機を公開販売し、暴利を得ており、知的財産権を著しく侵害した。
(2) プロジェクトチームによる2か月余りの追跡調査を経て、詹と陳の2容疑者が中国の不法業者と手を組み、日商任天堂等を含む複数企業のゲームソフトのゲーム機を、携帯型ゲームは1台300台湾元(約1,350円)、月光宝箱アーケードゲーム機は1台3,200元(約14,500円)で、ECプラットフォーム上で大量販売していたことが発覚した。台湾彰化地方裁判所に捜査令状を請求し、2024年10月15日に捜査を開始し、容疑者の詹と陳はその場で拘束され、現場ではアーケードゲーム機と携帯型ゲーム機119台(日商任天堂等の複数企業の英語、日本語、韓国語、中国語の多言語海賊版ゲームソフト945,871セットを含む)が押収された。告訴人の鑑定を経て、押収された証拠物の電子ファイルは全て使用許諾を経ていないゲームファイルであることが判明し、権利侵害市場価格は概算で8億台湾元(約36億3,300万円)を超えると推定された。著作権法、商標法等に違反した疑いにより、事件は台湾彰化地方検察署へ送られた。
(3) 知的財産権保護のため、これらの権利侵害商品を購入して犯罪行為を助長しないよう、またインターネット上の模倣品を見つけた場合には積極的に通報するよう、警察は民衆に注意喚起している。警察は引き続き関連の案件捜査を強化し、台湾の知的財産権保護に努める。
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