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知財ニュース263号

台湾知的財産権ニュース(No.263)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.263)
発行年月日:2018年2月1日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2018年1月24日 智慧局ニュース要訳)
1-1 智慧局:「テレマティクス特許と産業の分析レポート」を発表
2. 法律・制度
(2017年12月30日 聯合報第4面要訳)
2-1 薬事法改正案が三読通過 パテントリンケージ制度を確立
3. 知的財産権紛争
(2018年1月16日 中国時報電子報、判決文書の要訳)
3-1 コーセーの意匠権侵害訴訟でHANROONに賠償100万台湾元の判決
(2018年1月25日 工商時報第A4面要訳)
3-2 クアルコムの課徴金について、公平会は60回分割払いに同意
4. 模倣品関連
(2018年1月11日 中国時報第A13面要訳)
4-1 「海外留学生の購入代行」のうたい文句で模倣ブランド品を販売
5. その他一般
(2018年1月18日 行政院プレスリリース全訳)
5-1 頼行政院長:AIと産業ニーズを統合して「5+2」産業イノベーションの加速化を積極推進
(2018年1月28日 自由時報第A8面要訳)
5-2 AI競争に先手 台湾AI学校を開校

1. 智慧局ニュース

(2018.01.24 智慧局ニュース要訳)
1-1 智慧局:「テレマティクス特許と産業の分析レポート」を発表
自動車の電子化とスマート化の技術が発展する中、テレマティクス産業又は技術分野の標準必須特許(standard essential patents, SEPs)に関し、研究開発や投資に意欲のある研究者や業者に提供するための参考資料がない。
そこで智慧局は2017年に、米国、欧州、日本等の地域におけるテレマティクス技術の標準化機関(それぞれIEEE、ITS G5、ARIB)と国際標準化機構(ISO)が定めるテレマティクス標準化を例にし、ある産業における特定技術の標準化から始まり、当該分野でSEPsとなる潜在価値を有する技術を一つ一つ探し出し、集約するまでをどのようにレビューするかの分析・デモを試み、今回その分析報告をまとめた。テレマティクス又はその他産業の技術標準の発展に寄与する意向のある研究者、業者の参考ツールとなり、今後、台湾が各種産業の技術標準化、標準商用化の過程において、特許許諾条件、権利侵害訴訟手続等の不確定性の高い要素からもたらされる経営プレッシャーとリスクを低減させるものとなっている。報告書は以下のリンク先からダウンロード可能(中国語PDF)。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=655814&ctNode=7127&mp=1

2. 法律・制度

(2017.12 .30 聨合報第A4面要訳)
2-1 薬事法改正案が三読通過 パテントリンケージ制度を確立
立法院(国会に相当)は2017年12月29日、「薬事法」改正案を三読通過(最終可決)し、医薬品のパテントリンケージ制度を確立した。今後ジェネリック医薬品メーカーが販売許可証を申請する際、衛生福利部(以下、「衛福部」と略称)及び新薬メーカーに自主的に告知し、新薬関連の特許権を侵害していない旨を声明する義務がある。権利侵害の疑いがあると新薬メーカーが判断すれば訴訟提起が可能で、衛福部は許可証の発行を12ヶ月間一時停止する。最終的にジェネリック医薬品メーカーが勝訴した場合、特定期間の独占販売期間が取得できる。
台米貿易及び投資枠組み協定(TIFA)において、政府は薬事法の改正を通じ、新適応症の新薬への「データ独占保護」の付与並びに「パテントリンケージ」の実施に同意した。先ごろ、衛福部は立法院社會福利及衛生環境委員會へのプロジェクト報告で、いわゆる「データ独占保護」とは、新薬メーカーが新薬販売許可申請時に添付した資料を他の薬品メーカーが新薬メーカーの同意なしでは引用できないことを指し、「パテントリンケージ」はジェネリック医薬品メーカーが販売許可を申請する際、必ず自発的に中央主務官庁と新薬メーカーに新薬特許を侵害していない旨を声明しなければならないことを指すと述べている。

3. 知的財産権紛争

(2018.01 .16 中国時報電子報、判決文書の要訳)
3-1 コーセーの意匠権侵害訴訟でHANROONに賠償100万台湾元の判決
日本の著名コスメブランドである株式会社コーセー(以下、「コーセー」と略称)は2016年、台湾の真愛無瑕有限会社(HANROON)が販売する化粧品に使用している容器について、コーセーが有する登録番号D139201号意匠権の侵害に当たるとして、二度にわたり回収・破棄するよう書簡にて要求したが、HANROON側が依然として販売を継続したため、民事訴訟の提起に踏み切った。
提訴を受けHANROONは、2015年11月に香港美容展に参加した際、当該菱格紋(ダイヤモンドチェックデザイン)容器が中国、香港化粧品市場において多くの企業が関心を寄せていることを知り、その後インターネット及び市場調査したところ、当該商品に特許関連の問題はないと知ったため使用したもので、翌2016年9月にコーセー側の弁護士からの書簡を受け取ってすぐ中国メーカーへ特許・意匠権の有無を確認したが問題はなかった。また、その後提訴を受けて販売を停止しており、故意に権利侵害したものではないと主張。
智慧財産法院は2017年12月29日、両社は競争関係にある同業企業であることから、同業他社の情報には注意すべきで、HANROONには過失があり権利侵害に当たるとして、HANROONに対し容器の回収且つ破棄、並びに100万台湾元(約375万円)の賠償金の支払いを命じる判決を下した。
<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「106年度民專訴字第12号」 判決日:2017/12/29
判決書検索サイト: jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY01M_1.aspx#
裁判類別:民事 判決字号:106,民專訴,12 裁判案由:排除侵害專利權等
検索キーワード:高絲

(2018.01.25 工商時報第A4面要訳)
3-2 クアルコムの課徴金について、公平会は60回分割払いに同意
昨年10月、携帯電話用ベースバンドチップ最大手の米クアルコムに対し、公平交易委員会(以下「公平会」と略称、日本の公正取引委員会に相当)が234億台湾元(約877億円)の課徴金を科した件で、昨日(1/24)公平会はクアルコム側の要請を受け入れ、課徴金の60回分割払いに同意した。なお、課徴金の決定後、11月にクアルコムは「納付期限の延期」を要請しており、公平会は1月21日を期限としていたが、期限時にクアルコム側から「分割払い」の要請がなされていた。今回、公平会が60回の分割払いに同意したことから、クアルコムは今月末までに1回目の3億9,000万台湾元(約14億6,000万円)を支払わなければならない。
公平会の彭紹瑾・副主任委員は、課徴金が過去最高金額であり、またクアルコム側から分割払いの要請と約束手形を担保として申し入れてきたことからクアルコム側の分割払いの要請に応じたと述べた。
経済部の沈栄津・部長は、公平会は独立機関であることから原則的に経済部はその決定を尊重するが、工研院資訊通訊研究所(情報通信研究所:資通所)とクアルコム間で一時中断されていた5G(第5世代移動通信システム)提携の作業部会会議はすでに双方の対話を再開したと述べた。
また、経済部が公平会に課徴金ではなく投資という形にしてはどうかとの提案があったとの消息について沈栄津・部長は、公平会がクアルコムとどのように協議するかは公平会が主導するもので、公平取引と産業発展の均衡に基づき、経済部に協議参加への要請があれば、経済部としては参与すると述べた。

4. 模倣品関連

(2018.01 .11 中国時報第A13面要訳)
4-1 「海外留学生の購入代行」のうたい文句で模倣ブランド品を販売
台中市の蔡(26歳、商標法起訴猶予の過去有り)という男は、大学卒業後、高校時代の友人2人と共にネットショップサイト「型男飛行購物網」を開設し、「海外留学生の購入代行」とうたい、中国から輸入した模倣品のブランド商品(Chanel、Calvin Klein、ADIDAS等)をFacebookやYahoo拍賣(ヤフーオークション)等を利用して正規品の2~3割の価格で販売していた。
保安警察第二総隊刑事警察大隊偵査第二隊の捜査の結果、1,400点以上の模倣品を摘発し、毎月の売上額は200万台湾元(約753万円)を超え、権利侵害額は1,000万台湾元(約3,770万円)にもおよぶと見られている。

5. その他一般

(2018.01.18 行政院プレスリリース全訳)
5-1 頼行政院長:AIと産業ニーズを統合して「5+2」産業イノベーションの加速化を積極推進
行政院(内閣に相当)の賴清徳院長は18日、行政院会議にて、科技会報オフィス(科技評議会)による「台湾AI行動計画」の報告を受けた後、当該計画の目標は、台湾ですでに優勢な分野を強化することにあり、AIで「5+2」産業イノベーション計画を加速化し、AIと産業ニーズを統合することが、推進のカギとなる、と述べ、関連部会が管轄する「5+2」産業イノベーションセンターに対し、産業問題解決の着手からAI技術の善用、並びにAI人材を産業実務の運用に直接参加させることで各業界のイノベーション経営モデルの創出を目指すことが必要であると述べた。
賴院長はまた、次のように指摘した。スマート国家への邁進は行政院の五大施政目標の一つであり、規制緩和、デジタルインフラへの投資、人材育成の強化による「デジタル国家・イノベーション経済発展(DIGI+)方案」のほかに、さらに台湾のチップ半導体の優勢な基礎を活かして、スマートテクノロジー応用技術(AI、IoT、ビッグデータ等)を積極的に運用して、経済発展と民衆の生活の質の向上を促進していく必要がある。
呉政忠・政務委員が監督・指導する科技会報が、経済部、科技部、教育部等の関連部会と協力し、産学研界との意思疎通を行い提出した「台湾AI行動計画」について、頼院長は賛同・感謝を示し、また、科技会報オフィスで引き続き「DIGI+チーム」の部会横断的プラットフォームを通じて各省庁、民間、産業界のリソースをリンクさせて官民が連携して推進を加速するよう求めた。
頼院長は、マイクロソフト社が先週台湾にAI研究開発センターの設立を発表したことは、台湾の関連産業分野及び環境が国際的に認められたことであると述べ、関係省庁にスマートテクノロジー発展の契機とタイミングを掌握し、引き続き世界の人材、企業を台湾に取り込むよう求め、台湾をAIイノベーションハブと世界のスマートテクノロジー大国にしたい、との期待を述べた。
科技会報オフィスによる「台湾AI行動計画」には、「AI人材の育成スパート」、「AIナビの推進」、「グローバルAIイノベーションハブの構築」、「フィールドと規制緩和」、「産業のAI化」の五大ポイントが含まれており、緩和、オープン、投資精神によりAIのスマート運用を実現していくものとなっている。

(2018.01.28 自由時報第A8面要訳)
5-2 AI競争に先手 台湾AI学校を開校
AI(人工知能)人材を育成するための台湾AI学校が昨日(1/27)開校式を迎えた。式典には中央研究院の廖俊智・院長、経済部の沈栄津・部長、科技部の陳良基・部長、同校学長を務める中央研究院の孔祥重・院士、Google Taiwanの簡立峰・総経理等が出席。
昨年は台湾のAI元年であり、科技部はAI政策に多額の予算を投入し推進しており、科技部の陳良基・部長は台湾のAI分野は「絶対に負けてはならない」もので、産業が一定の規模に達しておらずAIがブレイクするまで待った場合台湾は完全に乗り遅れると述べた。
台湾AI学校の陳昇瑋・理事長は、AIは確かに企業の効率、生産力を高めることができるが、台湾の根本的な問題は人材不足であり、台湾AI学校は人材育成に力を注ぎ、産業のAI化、AIの産業化を目標とすると述べた。
第1期の合格者は210名、製造業、情報通信業、金融業等の様々な分野から集まり、12週間の集中コースで養成する。台北のほか、今後は新竹、台中、台南、高雄にも分校を設け、1年で7,500名のAI人材を育成する見込み。

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