台湾知的財産権ニュース(No.265)
発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.265)
発行年月日:2018年3月15日・30日合併号
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2018年3月1日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利無効審判の口頭審理作業方案」の予告
2. 法律・制度
(2018年3月17日 経済日報要訳)
2-1 捜査中の漏洩防止のため智慧局が「秘密保持令」を制定予定
3. 知的財産権紛争
(2018年2月27日 聯合報第A11面、工商時報第A3面の要訳)
3-1 群創光電が中国メーカーを17件の権利侵害で提訴
4. その他一般
(2018年3月13日 工商時報電子報要訳)
4-1 グーグルが「智慧台湾」計画の始動を発表
(2018年3月15日 工商時報第A1面要訳)
4-2 メディアテックがテンセント等の中国各社とAIアライアンスを締結
(2018年3月22日 経済日報第A5面要訳)
4-3 グーグルが智慧台湾計画でAI大軍を構築
(2018年3月22日 経済日報、2018年3月23日 工商時報第A15面の要訳)
4-4 国研院が米ケイデンスとAIチップの開発と人材育成で提携
1. 智慧局ニュース
(2018.03 .01 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利無効審判の口頭審理作業方案」の予告
専利無効審判の審理を更に透明、公正、正確にし、特定事実に対し当事者双方が完全な陳述を行えるようにするため、智慧局は行政手続法第107条第2号の規定に基づき、また世界の主要国が無効審判に口頭審理方式を採用していることを参酌し、「専利無効審判の口頭審理作業方案」を取り決めた。
「専利無効審判の口頭審理作業方案」内容は以下のリンク先からダウンロード可能(中国語:專利舉發案件聽證作業方案):
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=659905&ctNode=7127&mp=1
2. 法律・制度
(2018.03.17 経済日報要訳)
2-1 捜査中の漏洩防止のため智慧局が「秘密保持令」を制定予定
中国による31項目の対台湾優遇措置が発表されたことを受け、台湾人材の中国流出と共に営業秘密の流出の虞もあることから、智慧局の張玉英・副局長は3月16日、すでに完成させた「営業秘密法」改正草案に、立法院の本会期の審査に間に合うよう「秘密保持令」制度を早急に盛り込むと述べた。
智慧局によると、従来の事例から、営業秘密流出事件の捜査には平均6ヶ月かかり、司法院での審理期間には平均1年を要するため、企業から何度も智慧局に対し、営業秘密保護の強化と捜査と訴訟期間の短縮を求める声が寄せられていた。
張副局長によると、制定予定の「秘密保持令」制度とは、検察官による調査期間において、関連人物へ捜査協力が必要な場合に、秘密保持制度がないと二次被害をもたらす虞があるため、それを防ぐため秘密保持令制度で捜査に協力した当事者に対し、営業秘密を漏洩してはならず、使用してもならないという義務を負わせるものである。
3. 知的財産権紛争
(2018.02 .27 聯合報第A11面、工商時報第A3面の要訳)
3-1 群創光電が中国メーカーを17件の権利侵害で提訴
鴻海グループで液晶パネル製造会社の群創光電(イノラックス)は、中国の重慶恵科金渝光電科技有限公司(HKC)、合肥恵科金揚科技有限公司(以下、「恵科金揚」と略称)及びその特約店がイノラックスの特許権を侵害し、液晶パネル商品の製造、使用、販売、許諾販売の権利侵害を犯し、また権利侵害商品を利用しテレビ等のディスプレイ装置を生産している疑いがあるとして、2月12日に中国の広州知識産権法院(知的財産裁判所)と寧波市中級人民裁判所へ合計17件の特許権侵害で提訴した。
モニターやテレビのOEMから起業したHKCは、十数年来、群創(奇美電子)及び友達光電(AUO)から液晶パネルを購入し、システムの組み立てをおこなってきたが、近年、中国政府の政策支持の下、主要パーツである液晶パネルの供給源を掌握し急速に川上業者へと発展してきており、2017年に重慶の8.6世代工場における量産に続き、昨年より2基目となる安徽ジョ州市の8.6世代工場の建設も始まった。今年は鄭州市の航空港経済総合実験区において世界最大の11世代工場を新設する計画もある。
イノラックスの主張によるとHKCは未許可で17件の特許権を侵害する液晶パネル商品を大量に製造・販売し、H32L1、H32S2等を含むHKCブランドのテレビ又はその他のモニター装置の生産のため恵科金揚へ提供をしていた。
イノラックスの王志超・董事長兼執行長は、①権利侵害行為の即刻停止、②権利侵害事件の再発の根絶、③権利侵害商品の生産全面停止、④関連在庫及び生産設備の破棄をすることによって恵科の特許権侵害行為に根底から終止符を打つよう要求し、中国企業は知的財産権を十分尊重し、誠実な経営環境を共同維持すべきであり、間違った見解を正すため、中国裁判所が今回の権利侵害について公正な審判を下すことを期待すると呼びかけた。
4. その他一般
(2018.03 .13 工商時報電子報要訳)
4-1 グーグルが「智慧台湾」計画の始動を発表
マイクロソフト、アマゾンウェブサービス(AWS)に続き、グーグルは今月12日、「智慧(インテリジェント)台湾」計画を3月21日より始動し、グーグル本部のAI(人工知能)ファースト戦略と連結させ、台湾とともに更なるデジタル化の未来に向けてまい進していくと発表した。
マイクロソフトは今年初め、2年以内に10億台湾元(約36億円)を投じ、まずは100人規模のAIチームを設立し、最終目標として5年以内に200人を超えるAI研究開発チームを募集・育成すると同時に台湾の製造業、システムインテグレーターにおけるAIの実施に協力すると発表。その後、アマゾンウェブサービスも台湾に連合イノベーションセンターを設立すると公表した。
グーグルは今回の計画が台湾で事業を開始して以来12年間で最大の計画であり、動員数・規模ともに最大の対外的計画になると表明。
消息筋によるとグーグルの「智慧台湾」計画はマイクロソフトと方向性が似ており、これもグーグルが台湾でAI人材の募集・育成を希望する所以である。グーグルが世界のAI発展のリーダーの一つとなり、智慧台湾計画がグーグル本部の研究開発力を通して更に一歩進んだ関係を結び、台湾のAIの実力を向上させることができるかは計画内容次第である。
(2018.03.15 工商時報第A1面要訳)
4-2 メディアテックがテンセント等の中国各社とAIアライアンスを締結
「メディアテック(聯発科)」は3月15日、北京で記者会見を開き、中国のSNS大手の「テンセント(騰訊)」や、ユニコーン企業の「商湯科技」、顔認識プラットフォームFace++を展開する「Megvii(曠視科技)」、米国から杭州へ本社機能を移した「ARCSoft(虹軟科技)」とAI技術面においてパートナーシップを結びAIアライアンスを締結したと発表した。
テンセントとメディアテックは、画像アプリ、アンチウイルスエンジンにおいて提携し、AIを顔認識に応用し、ウイルス検索能力を強化する予定。また、MegviiとのAI提携では、メディアテックのP60チップをCPU、GPU及びAPUに搭載してディープラーニング効果を発揮し、本来クラウドでのみ実現していたAI推論(inference)と訓練(training)を携帯端末においても展開することができる見込みである。
(2018.03 .22 経済日報第A5面要訳)
4-3 グーグルが智慧台湾計画でAI大軍を構築
グーグルは21日、「グーグル智慧台湾計画(Intelligent Taiwan)」を始動し、人材、経済、生態を三大主軸として台湾政府部門、高等教育機関、企業界等と協力し、多元的な訓練項目を推進することで1年以内に5,000人を超える人工知能(AI)人材を育成し、5万人のデジタル営業人材を訓練すると発表した。また同時に、台湾で過去最大規模の人材募集を行い、今年はAI研究開発内の求人を含む100種類以上、300人以上の従業員を採用すると発表した。
グーグル台湾の簡立峰・董事長は、グーグルは昨年「AI-First(AIファースト)」グローバル戦略目標を掲げており、台湾はグーグルの発展関連計画の戦略重要拠点であるとして、ソフト・ハードウェア人材の募集とインフラ投資の継続以外に、社会経済面から更に一歩進んだ協力で台湾とグーグルのAI-Firstビジョンを結び付けると述べた。
AI人材に関しては、国立台湾大学、国立清華大学、国立交通大学、国立成功大学の4大学のAI人材に「AIイノベーションリサーチキャンプ」を実施し、台湾人材とグーグルの世界各地のAI専門家との交流を深めてもらう。グーグルはまた北部・中部・南部でも教師キャンプを実施し、グーグルの機器学習カリキュラムを無料で高等教育機関、中等教育機関の教師、及び資策会の訓練を受けた教官等に無料で指導し、AI教育普及化の推進目標を達成させる。
このほか、グーグルは台湾初となる「グーグルデジタルカリキュラム」を無料且つ全中国語で設け、中小企業、学生、求職者等ニーズのある方にいつでもオンラインでデジタル技術を提供し、さらに台中・台南に1年間の実体教育訓練スペースとカリキュラムを設置する。
またグーグルは全中国語のYouTubeクリエイター学院オンラインカリキュラムプラットホームを推進して、クリエイターの育成にも力を入れる予定。
(2018.03.22 経済日報、2018.03.23 工商時報第A15面の要訳)
4-4 国研院が米ケイデンスとAIチップの開発と人材育成で提携
国家実験研究院の晶片系統設計中心(チップシステム設計センター:CIC)は3月22日、米国の半導体開発用ソフトウェア企業であるケイデンス(Cadence Design Systems Inc.)と提携し、IC検証のシミュレーションプラットフォームを使用して、次世代AIチップの開発と人材育成の推進を強化すると発表した。
国研院の林盈達・副院長によると、CICは今年中旬にはAIラボラトリーを設立する計画で、50~100のAI計画と半導体エッジ計画の案件でAIラボラトリーを使用することができる見込みである。
また、双方は共同でAIチップ設計の検証環境を構築し、「形式的検証(Formal Verification)」を導入する見込みで、これにより検証機能の正確性と完備性が強化され、チップの成功率も向上させることができる。また、この他に教育機関でのAIの卵育成のため、チップ検証分野についてソフト・ハード等の検証課程の開設を計画し、チップ開発の基礎として人材育成を強化していく。
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